福岡市の中心地・天神の再開発プロジェクト「天神ビッグバン」をはじめ、16年の在任期間中に多くの改革を推進した高島宗一郎市長。「活動量の多さは、社会の変化に対応し続けた結果」だと語る。生活の前提が変われば、市民のニーズも変わる。ゴールが先へ先へと動けば、行政もまた変わり続けなければならない。そこで生まれるリーダーの葛藤と、未来を見据えた解決のアプローチとは。(本稿は高島宗一郎・著『福岡市の問題解決』を一部抜粋・編集したものです)
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「お前のせいで青春の景色が消えた」
街が成長し、新しい景色が生まれる中で、必ず聞こえてくる声があります。
「家賃が高くなって、若いオーナーや昔ながらの店が入居できなくなる」「個性的な雑居ビルが消えて、街がつまらなくなる」「若者の居場所がなくなる。行政は若者カルチャーを守るべきだ」。
このような批判を、私は安易に否定するつもりはありません。再開発には常に喪失感が伴います。その場所で思い出を重ねてきた人たちにとって、記憶にある風景がガラリと変わってしまうのは寂しい。長く愛されてきた場所だからこそ、年配の方を中心にそう感じている方がいらっしゃるのは理解できます。
プロジェクトを推進してきた責任者として、こうした反対意見に真摯に向き合う必要があります。「お前のせいで青春の景色が消えた」と言われれば、当然受け止めなければなりません。
ただその上で、事実として整理しておきたいことがあります。
例えばファッションビルというビジネスモデルは、もうずいぶん前から、時代とのずれが生じていました。建て替えの背景には、行政側の産業政策や、耐震性を高めるという災害対策だけではなく、商業施設としての収益構造自体が限界を迎えていたという現実があったのです。
行政が「邪魔をしない」という支援
そもそも、天神という街の魅力とは何だったのか?
私は、ずっと最先端であり続けてきたこと、そして常に新陳代謝を続けてきたことにあると思っています。
今回の再開発もまた、その代謝の一つです。
今の若者は遊び方そのものが変わっています。例えば天神ビッグバンの一環で建てられ、ザ・リッツ・カールトン福岡が入る「福岡大名ガーデンシティ」というビルに隣接する広場には、昼も夜も若い人たちが自然と集まってきます。芝生の上でショート動画を撮ったり、ダンスの練習をしたり、思い思いの時間を仲間と過ごしている。
彼らが求めているのは、ファッションビルでの買い物より、絵になる場所で友達と自分たちの時間を過ごすことです。場所の使い方も、遊びのかたちも、時代と共に大きく変わっています。



