いまや「地方最強都市」と呼ばれるようになった福岡市。開業率は7年連続で政令市1位。人口は20万人以上増加し、税収は1.6倍に増大。市政信頼度は80%を超える。これらはすべて、現在4期目を務める高島宗一郎市長の就任以降に起きた変化である。高島市長は、リーダー自らが変わり続けなければ街も企業も成長はないと語る。恐れることなく改革を推し進め、街の景色を変えたリーダーシップ論を『福岡市の問題解決』(高島宗一郎・著)から一部抜粋・編集してお届けする。〈ダイヤモンド社書籍編集局〉

福岡市Photo: Adobe Stock

改革だけが期待されていた

 市長に就任して最初に迎えた朝のことを、今でもはっきり覚えています。
 市役所の建物に入ると、そこにいた職員のほとんどが私のことを知りませんでした。
 知っていたとしても「テレビに出ていた人」という程度の認識です。役所には、彼らの築いてきた人間関係がすでにできあがっていました。そこに36歳の元アナウンサーがいきなりトップとして飛び込んだわけです。これから自分が動かしていく組織なのに、まわりに味方がほぼいない――。

 私は市政についてもまったくの素人でした。福岡市の人口は、このとき約146万人(2010年時点)。これは当時の政令指定都市で7番目に多い数です。知らない職員たちに囲まれ、さまざまな価値観を持つ市民たちが暮らす街のリーダーとして、いったいどこから手をつけたらいいかもわからない状態でした。

 けれど私には、一つだけ確信していたことがありました。就任直前の福岡市政への信頼度調査の結果はわずか41%。つまり、市民の半数以上が市政を信頼していなかったのです。
 新しく外からやってきたリーダーが市民から期待されているのは現状維持ではない、改革だ。私はその思いを胸に、一期目をスタートさせました。

隠された課題は第三の視点で掘り起こせ

 改革の第一歩は、「無駄に出ていくお金」を止めること。私が市長になったとき、このままいくと福岡市はその後3年間で450億円以上の財源が不足することになるだろうと言われていました。すでに多額の「借金」を抱えており、ピーク時の2004年には、市民一人当たりの市債残高は185万円にも上っていました。これ以上の市債の発行は極力抑えたい。

 そこでまず取りかかったのが、行財政改革の全体像を描くことでした。なぜこのような事態になっているのか? 見えない問題を掘り当てようと、聖域に切り込んでいくことにしたのです。

 市政の素人であった私が、自分の感覚だけで手をつけても的外れになりかねないため、有識者会議を立ち上げ、財政の専門家や民間の経営者など、その道のプロフェッショナルの方々に外部の目で福岡市の歳出構造を洗い出してもらいました。
 そうしてできあがった「行財政改革プラン」に基づき、私は補助金の見直しや、外郭団体の見直し、随意契約を競争入札に変える取り組みに着手していきました。随意契約では、発注者である国や自治体などが特定の業者を任意に選ぶことができますが、それを健全な競争性のある仕組みに変えようとしたのです。

 ただ、こうした改革案を実行していく上で、当然、既得権者の大反対に遭うであろうことはわかっていました。さて、どうしたものか――?