『その仕事、スケールするの?』は、シアトルの巨大IT企業で働く著者・福原たまねぎ氏が、世界一流の同僚から学んだ成果の出る仕事のやり方を明かす1冊です。今回は書籍の発売に先駆け、「2007年に世界を変えた製品に学ぶ、世界一流の仕事術」として、本文の原稿を特別に公開します。

ApplePhoto: Adobe Stock

仕事のなかに「iPhone」をつくる

スケールする仕事を突き詰めると、どんな姿になるのだろうか。

ひと言で例えると、仕事のなかにiPhoneをつくることだ。

iPhoneは、スティーブ・ジョブズ率いるAppleが生み出したスマートフォンで、これまでに全世界で30億台以上が出荷されている。

しかし、その本質は単なる「高性能なデバイス」ではない。iPhoneは、使う人ごとにまったく異なる道具へと変化する。

ある人にとっては写真や動画で思い出を残すアルバムになり、ある人にとっては映画を観るテレビになり、ある人にとっては音楽を流すスピーカーになる。

1つの決済アプリがあれば、財布を持たずに世界中で買い物ができるようになる。

あるいは、地図や配車アプリを使えば、はじめて訪れる都市でも迷うことなく移動できる。

さらに、健康管理アプリやウェアラブルデバイスと連携すれば、日々の運動や睡眠のデータが自動で記録され、自分の体の状態を継続的に把握できるようになる。

個人の日々の習慣すらも、テクノロジーによって無限に拡張されていくのだ。

もともとは一部の地域のためにつくられたサービスが、世界中の移動体験を同じレベルに引き上げていく。

つまりiPhoneとは、「限りない用途に対応できる製品」なのだ。

iPhoneのために世界中の開発者がアプリをつくり、ユーザーが使い方を広げる。

その結果、1つのプロダクトが何十億人の生活や仕事に影響を与えつづける。

「1回つくれば、世界中で価値を上げつづける構造」こそが、iPhoneのスケールだ。

だから「仕事のなかにiPhoneをつくる」とは一回の努力が、限りなく多くの目的に使えることだ。