毎日必死に働いているのに仕事が減らず、なぜか同じトラブルを繰り返してしまう――。そんな悩みを抱える人に知ってほしいのが、世界一流の「仕事の方程式」だ。『その仕事、スケールするの?』は、シアトルの巨大IT企業で働く著者・福原たまねぎ氏が、世界一流の同僚から学んだ成果の出る仕事のやり方を明かす1冊です。今回は書籍の発売に先駆け、本書の一部を先行公開します。
シアトルで知った努力の方程式
これまで、ぼくは「仕事の成果」について、次のような極めてシンプルな計算式で考えていた。
成果 = 努力 = 時間 × 根気
「成果が出ないのは、自分の努力が足りないからだ」と信じていたのだ。
しかし、1日はだれにとっても24時間しかない。
どれだけ体力のある人でも、努力を無限に増やしつづけることには、必ず限界が来る。
シアトルの同僚たちを見ていてハッとしたのは、彼らの考える「成果の方程式」が、まったく異なることだった。
成果 = 努力 × 再現性 × 波及性 × 自走性
努力をすることはもちろん大切だ。しかし、「成果の大きさ」を決めるのは、努力そのものではない。
その努力を何倍、何十倍にも増幅させる「かけ算の3要素」なのだ。
この方程式を意識すると、たった1回の努力が、まるで複利のように勝手に成果を広げつづけてくれるようになる。
逆に言えば、このかけ算を意識しなければ、どれだけがむしゃらに汗を流しても、その努力はその場で消費されて終わりになってしまう。
では、努力の成果を爆発的に広げてくれるこの「かけ算の3要素」とは、具体的にどのようなものなのだろうか。
本記事では、3要素のうちの1つ目、再現性について紹介する。
真似できる仕事をつくる――再現性
1つ目は、再現性だ。
その仕事は、同じ質で何度もアウトプットできるのか。
平たく言えば「真似できるか?」ということだ。
世界一流の職場では、「あの人しかできない仕事」は意外なほど評価されない。
もちろん、個人の才能やセンスはすごいし、職人芸のような仕事にも大いなる価値がある。
でも、組織として強いのはそこではない。
ほんとうに大切なのは、チームの人が同じ成果を何度も出せる状態をつくれるかどうかだ。
たとえば上司が、だれもが唸るようなプレゼンの天才だったとする。
話の流れもきれいだし、スライドの見せ方も抜群で、偉い人たちも思わず「上手いな」と首を縦に振りたくなる。
でも、そのつくり方が完全に「その人にしかできないこと」だったらどうだろう。
「なんとなく、この順番のほうが伝わる気がする」「経験上、この言い回しが刺さる」こんなふうに、プレゼンが勘と経験でできていると、他の人は真似できない。
その人が有休を取った日には、チーム全体のアウトプットの質が落ちる。
「その人にしかできない仕事」は、組織としてはかなり不安定だ。
逆に、「だれもが真似できる仕事」は安定している。
たとえば、いいプレゼンの構成をテンプレートにする。
・流れを決めておく。
・スライドの型をそろえる。
・使用する表現を事前に決めておく。
こうすれば、新人でも一定レベルの資料がつくれるようになる。
ここで起きているのはシンプルで、個人の能力が組織の資産に変わるということだ。
シアトルで何度も感じたのは、仕事ができる人ほど「自分しかできない状態」を嫌うということだった。
「あの人がいたから仕事が回っていた」ではなく、「あの人がいたことで仕組みが生まれた」と言われるようになる。これが、スケールする人間の証だ。
『その仕事、スケールするの?』
★ GAFAMをはじめ世界を動かすトップ企業のアメリカ本社で活躍してきた社員が実践する「圧倒的生産性」の秘密!
世界最高峰の現場で使われる「思考法」が身に付く
Google、Microsoftのように、世界中にデータセンターを張り巡らせ、需要が増えれば一気にシステムを拡張できる企業を、米国テック業界では「ハイパースケーラー」と呼びます。そして、OpenAIやAnthropicが牽引する急激なAIの進化を支えているのが「スケーリング則(スケーリング・ロー)」です。
なぜ、米国のテック企業で働く人たちは、なぜこうした世界規模の成果を出し続けられるのでしょうか?
その秘密が「スケール思考」です。
現場の社員から、イーロン・マスク、サム・アルトマン、ナヴァル・ラヴィカントらトップまで、その考え方に深く根付く思想を紐解きます。
外資系IT企業の米国本社でシニア・プロダクト・マネージャーとして働く著者が、世界一流の同僚から学んだ、無理をせずに成果を上げる思考法を伝授します。
いま世界の中心にある"スケール"という考え方を、自分の仕事に活かす。新時代のビジネス書です。
『その仕事、スケールするの?』目次
1章 仕事をスケールさせる「考え方」
・「その場限りの努力」はしない
・努力の方程式を変える
・真似できる仕事をつくる ― 再現性
・何度も広がる仕事をする ― 波及性
・自分なしで回る仕事にする ― 自走性
・「1日に働ける時間」を知る
・仕事のなかに「iPhone」をつくる
・「『頑張れ』というのは、意味のない言葉だよね」
・報われる努力をする
・「その仕事、スケールするの?」1章のチェックポイント
2章 仕事をスケールさせる「デザイン力」
・世界一流の同僚は「頑張る前にデザインする」
・「我慢」も「残業」もしなくていい ― キャパシティをデザインする
・「質の高いアウトプット」に徹底的にこだわる
・自分のキャパシティを知る
・80%は絶対に超えない ― タスクをデザインする
・負荷を決める
・大事なタスクは1日3つまでに絞る
・「タスク」を「予定」に変える ― 時間をデザインする
・3秒で片づく仕事は見た瞬間にやる
・「仕事の終わり」を決める ― ゴールをデザインする
・4つの条件で、仕事を終わらせる
・5分単位でスケジュールを組む
・タスクをこなし、クビになったレンコンさん
・「その仕事、スケールするの?」2章のチェックポイント
Coffee Break Read シアトルってどんな場所? 雨とコーヒー
3章 思考をスケールさせる「言語化」
・「よくわからない」をログせにする
・書く、書く、書く
・要点を「メモ」にして渡す
・世界一流の同僚は「トヨタ式」で考える
・メールに脚注をつける
・ポイ捨ての仕事をやめる
・質問の前に「インプット」する
・「その仕事、スケールするの?」3章のチェックポイント
4章 意思決定をスケールさせる「データ」
・「データ集め」に8割の力を入れる
・ズッキーニさんが教えてくれた「Data ends arguments」
・「声の大きい人」に惑わされない
・すぐに「検証して」みる
・4つのコツで仕事を「データ」にする
・小さく試してデータをつくる
・たった「3人」の意見を聞く
・データでわかるまで「はい」とは言わない
・データの「旬」を見極める
・「その仕事、スケールするの?」4章のチェックポイント
5章 人間関係をスケールさせる「コミュニケーション」
・人を巻きこむ
・「インセンティブをそろえなさい」
・みんなの「動機」をそろえる
・小さいことも「根回し」する
・「期待値」をコントロールする
・「問題」と「人」を切り分ける
・「obey」ではなく「listen」する
・会議は「ジャズ」で制す
・5分間だけ「電話」する
・「上手くいったコミュニケーション」を型にして残す
・「その仕事、スケールするの?」5章のチェックポイント
Coffee Break Read シアトルってどんな街? テクノロジーと田舎
6章 仕事のおもしろさをスケールさせる「マインドセット」
・今の職場で「おもしろい仕事」を見つける
・「楽しい?」を口ぐせにする
・3つの「できる」を守る
・まずは「自分たちのため」につくる
・「自分がやること」を決める
・無茶振りなタスクは「翻訳する」
・飲み会の幹事でプロジェクトを回す
・「KAIZEN」しない
・「これでベストか」を疑う
・「その仕事、スケールするの?」6章のチェックポイント
7章 人生をスケールさせる「キャリア」
・10年後のキャリアプランは「つくらない」
・偶然を「活かせる人」になる
・スケールする仕事を探して、交渉して、掴み取る
・「ROIの高い仕事」を見極める
・「いいプロジェクト」にこだわる
・昇進は「交渉」する
・「育ててもらう」から卒業する
・「学歴」にこだわらない
・「自分の市場価値」を気にする
・タケノコさんが最後に言われた言葉
・「その仕事、スケールするの?」7章のチェックポイント