パク・ウンビンの演じたヨンウはやや猫背で、少し変わった歩き方や相手と目線を合わせない仕草に、抑揚のない話し方が特徴的だ。

 一方、芦田演じる南田は落ち着きのない手の動きなどがヨンウと共通するが、背筋は伸びており、話し方もはっきりとしている。このため民放のドラマを見る不特定多数の視聴者にもわかりやすくなっている。

 芦田は共同通信のインタビューの中で、実際にASD当事者に会い、雑談をする中で役への理解を深めていったと語っている。

 そうした経験や監督などとのディスカッションから導き出されたのが、韓国版のヨンウとは違う、今の南田南というキャラなのだろう。

功を奏した
日本版のアレンジ

 また『南田南弁護士は天才肌』が好評だった理由の一つとして挙げられるのが、日本版ならではのアレンジだ。

 例えば父親が営む店も、韓国版のキンパ店から日本版ではおむすび店に変更されている。

 韓国版では、主人公ヨンウが苦手とする回転ドアを通るため、同僚男性であるイ・ジュノがワルツのリズムで入るタイミングを教えるシーンがある。日本版では回転ドアがエスカレーターに変更されていた。

 南田はエスカレーターが苦手で、乗ろうとすると足がすくんでしまう。そんな彼女に高橋文哉演じるパラリーガルの船井湊人が優しく声をかけ、一緒にリズムを取って下りエスカレーターへと乗る。

 そこで南田は大好きなクジラを思い浮かべながら「なんだか深く海の底に潜っていくみたいです!」という素直でかわいらしい感想を語る。原作にはない印象的なシーンが、南田の魅力を伝えているとSNSでも評判だった。

 直属の上司となる弁護士も、原作とは印象が異なる。韓国版で上司となるチョン・ミョンソクは、細身でメガネをかけたクールな佇まいで、当初はヨンウの採用に難色を示しながらも、次第にその能力を認めていく人物だ。

 一方、日本版で山口馬木也が演じる宮地賢吾は、53歳の山口が持つ落ち着いた雰囲気もあって、南田とはより年齢の離れた上司として描かれる。

 南田の採用に戸惑う場面こそあるものの、その描写は短く、早い段階から彼女を温かく見守る姿が印象に残る。原作と比べ、より包容力のある人物として映るのだ。