「謙虚さこそが、最強の戦略だ」と主張するのは、モルガンスタンレー、Googleなどで働き4大陸50カ国以上のリーダーを見続けてきたピョートル氏。
謙虚さを戦略的に使いこなしているリーダーが使う「あるフレーズ」があると語ります。この魔法のフレーズが、謙虚さを示すだけでなく、チームや組織を変えていくそうです。新刊『「謙虚さ」という戦略』から一部抜粋してご紹介します。
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謙虚なリーダーが持っている「素直に認める力」
「わかりません」
この言葉が言えるかどうかで、あなたの謙虚さの姿勢が示されます。
自分の知らない技術や知識に出合ったとき、どうやって解決すればいいのかわからない問題に出合ったとき、そのときの態度・対応が、組織における心理的安全性、創造性、そして自身の成長速度を決めることになります。
マイクロソフトCEOのサティア・ナデラが持っていたのも、この「素直に認められる」謙虚さでした。
もちろん、彼は本心からそれが正しいこととして、わからないことや間違いを素直に認めたはずです。しかしそれは同時に、それを組織文化として浸透させるというリーダーとしての目的を持った「戦略的謙虚さ」だったのです。
この姿勢は、禅の「初心」という言葉に通じています。
「初心」は、何も知らないという柔軟な心で物事に臨む態度のことです。「わからない」という状態を恐れず、むしろその「わからなさ」の中で新しい理解が生まれてくるのを待つ。まさに腰が低い人の内面の核心と同じです。
これは、松下幸之助が生涯にわたって説いた「素直な心」とも重なります。
松下はパナソニックを世界的企業に育て上げ、その成功の根底に「素直な心」を置いていました。盲目的な従順さでも弱さでもない。自分のバイアスやプライドに邪魔されずに、物事をありのままに見る力――フラットに学ぶ姿勢のことです。
たとえば、重要な製品のローンチが失敗したとき、自尊感情が脆(もろ)い人は即座に自己防衛に走ります。マーケティング部門のせいにしたり、景気のせいにしたりと、「自分のせいではなく、誰かのせいだ」と失敗を合理化しようとします。自分を守ることが最優先になってしまうのです。
しかしフラットな学習姿勢を持つ謙虚な人は、同じ失敗を経験したとしても、痛いフィードバックから目を逸らしません。
「失敗した。なぜだ? 何を見落とした? どう修正する?」
そう自分に問いかけ、思考し続けます。自己防衛モードになると、言い訳や責任の擦(なす)り付けに思考のリソースが割かれるため、学び成長する方向に思考することができません。
だから、「自己防衛に走らない」だけで、成長速度は大きく変わるのです。
「わからないこと」「想定外のこと」が起こったとき、自分が「わからない状態」であることを認め、物事をありのままに見る姿勢があれば、それは自分自身の中から生まれるフィードバック・ループになります。
プライドや自我に邪魔されないフィードバック・ループを持つ人は、環境の変化に最も速く適応できるのです。変化の激しいビジネスの世界で、これ以上の強みはありません。



