「自分は夜型だから」。学生時代からそう思い込み、大事な仕事は夜に片づけるのが習慣になっている。ところが最近、夜になると頭が重く、なかなか作業がはかどらない。それは怠けているからでも、能力が落ちたからでもないかもしれない。自分に合ったやり方そのものが、知らないうちに変わっている可能性がある。書籍『小さな実験』をもとに解説する。

一度決めた「自分らしさ」は、なかなか疑わない
「追い込まれないと本気が出ない」「一人で黙々と作業するほうが向いている」「朝は苦手」。私たちは誰しも、自分の得意なやり方について、何らかのイメージを持っている。
その多くは、学生時代や社会人になりたてのころの経験から形づくられたものだ。当時はたしかにそれでうまくいった。だからこそ、その後も疑うことなく、同じやり方を続けている。
(『予想だにしないほど人生が大きく動き出す 小さな実験』より)
人は、年齢を重ねるにつれて変わっていく。体力も、集中の仕方も、心地よいと感じるリズムも、10年前と同じとはかぎらない。それなのに、自分についての認識だけが昔のまま止まっていることは少なくない。
合わなくなったやり方は、自分を責める理由になる
変化は、年齢だけによるものではない。家庭を持てば使える時間帯が変わる。役職が上がれば、求められる仕事の種類も変わる。住む場所や働き方が変われば、一日の流れも変わる。
こうした変化があるにもかかわらず、以前のやり方にこだわり続けると、うまくいかない場面が増えていく。そのとき多くの人は、やり方を疑うより先に、自分を疑ってしまう。「前はできていたのに」「最近、集中力が落ちた」と。だが実際には、能力が衰えたのではなく、やり方が今の自分に合わなくなっただけかもしれないのだ。
自分についての理解を、ときどき更新する
では、どうすればいいのか。ひとつの方法は、自分の得意なやり方を「確定した事実」ではなく、「今のところの理解」として扱うことだ。
年度の変わり目や異動、生活の変化があったときなどを区切りに、これまでの習慣が今もしっくりきているかを見直してみる。そして、違和感があるなら、別のやり方を期間を決めて試してみる。夜にしていた作業を2週間だけ朝に移す、一人で抱えていた仕事を誰かと話しながら進めてみる。思い込みを手放してみると、意外なほど楽に進むことがある。
自分を知ることは、一度で終わる作業ではない。変わり続ける自分に合わせて、理解のほうも少しずつ書き換えていく。その柔軟さが、年齢や環境の変化を味方につける力になる。
いつまでも自分らしく力を発揮するために必要なのは、昔うまくいったやり方を守り続けることではない。今の自分に合ったやり方を、ときどき探し直してみることだけでいい。




