世の中をあっと言わせる偉業を成し遂げた人は、どんなことを考えていたのか。サラリーマンでありながらサンダンス映画祭で日本映画史上初のグランプリを受賞し、『あなたにしか作れないけれど、世界に通用してしまう 脚本の教室』を上梓した長久允氏の思考を辿ります。(構成/ダイヤモンド社書籍編集局)
人からどう思われるかを気にしてしまう
「あのとき、やっておけばよかった」
老後を迎えたとき、そんな後悔はできるだけしたくないものです。
けれど、何かを始めようとすると、つい他人の目が気になってしまう。
そんなことをして何になるのか。今さら始めても遅いのではないか。自分には向いていないんじゃないか。
誰かにそう言われると、せっかく湧いてきた気持ちもしぼんでしまう。
けれど、他人から否定されることと、自分がやりたいことに価値がないことは、まったく別の話かもしれません。
映画監督/脚本家の長久允(ながひさまこと)さんは、サンダンス映画祭でグランプリを受賞するという快挙を成し遂げました。
ところが、その作品が日本で上映されると、「こんなの映画じゃない」という批判も受けたといいます。
世界的な映画祭で評価されても、すべての人に認められるわけではないのです。
人はそれぞれ好みも評価軸も違いますから、賛否が出て当たり前です。(中略)
そんなことはわかってるんです。しかし作り手というものは繊細なので、やっぱり喰らっちゃいますよね。全力で作ったものですから、そうであればあるほど、喰らっちゃうものなのです。
――『あなたにしか作れないけれど、世界に通用してしまう 脚本の教室』p42より
自分が一生懸命に取り組んだものを否定されるのは、つらいことです。
それは、世界で評価された映画監督であっても変わらない。
受け入れなくてもいい「否定」がある
長久さんは、他人からの批判をすべて無視しているわけではありません。
むしろ積極的に感想を聞き、インターネット上の口コミにも目を通すそうです。
しかし、ひとつだけ、受け付けてはいけない否定があるといいます。
「否」の意見にも種類はさまざまです。一つひとつの意見に、参考になる、勉強になることは隠れています。
だから私はなるべくたくさんの人の感想を聞きたい。エゴサも全部したい。フィルマークスで書かれたクチコミも全部読みます。喰らうけど! でも聞きます。読みます。
でもひとつだけ、この手の「否」だけは受け付けてはならないというものがあります。
それは、(中略)この否定意見です。
「こんなの映画じゃない」
――『あなたにしか作れないけれど、世界に通用してしまう 脚本の教室』p43より
長久さんは、「映画の懐は深い」とした上で、こうした意見に対して「無視しましょう! 無視無視!」と続けます。
もちろん、仕事でも人生でも、他人の意見に耳を傾けることは大切です。
自分では気づかなかった問題を教えてもらえることもあります。
けれど、「そんなの意味がない」「普通はこうするものだ」と、他人の価値観だけで可能性を狭められる必要はないのかもしれません。
それは、映画づくりに限った話ではなく、仕事で新しい企画を提案するとき。趣味で何かを始めるとき。昔からやりたかったことに挑戦するとき。
誰かに否定されることはあるでしょう。けれど、その言葉をすべて受け入れて、自分のやりたいことを諦めてしまうのは、もったいないことです。
誰かに評価されなくても、自分にとっては大切なことがある。
老後を迎えたとき、「人にどう思われるかを気にして、結局何もしなかった」と後悔しないために。
他人の意見は聞く。けれど、自分の人生を他人の価値観だけで決めない。
そんな姿勢を、少しずつ身につけておくことが大切ではないでしょうか。

世界が注目する脚本家が初めて明かす、
「自分にしかできない仕事」のつくりかた
5月30日 東京新聞「書評」掲載
4月12日 読売新聞「本よみうり堂」掲載
佐久間宣行さん、ラランド・サーヤさん絶賛!
MEGUMIさん愛読書!!
「それっぽいもの」ではなく、
「本当に心を動かすもの」を
表現がいまいちしっくりこない。
この仕事、自分がやらなくてもいいような気がする。
もっとおもしろいものを作りたい。
そんな悩みに、現役サラリーマンでありながら、海外の映画賞で「日本人初」の快挙を総ナメしてきた著者が答えます。
どうしたら、自分だけの表現をし、それを成果に結びつけられるのか。
どんな人でも、「あなたにしか作れない作品」を生み出せるようになる、まったく新しい脚本術が誕生しました!

本当のことしか書いていない。
これからの「世界のスタンダード」を伝える一冊
いま世界で本当に評価されるものは、「何かに似ているもの」ではありません。
ハリウッドで必ず聞かれること。それは、
“What’s your VOICE?”
あなたのボイスは何ですか?
ということです。
つまり、他の誰でもない「あなたが」何を伝えたいか、ということ。
では具体的にどうすればいいのか。
すべてを自分で切り開いてきた著者が、包み隠さず伝えます。
真剣に表現したいと思う人、自分らしさを失わずに働きたいと思う人に、とても響く内容です。
本書の内容
はじめに
「この本の結論を先に言います。」
「それっぽいもの」は最低だぜ!
王道の脚本方式と完全自己流の脚本方式をミックスして
そもそも脚本家ってどうやってなったらいいかわからない問題
Lesson0 世界一になるまでの変則ルート
「私が映画を作ったのは32歳から! おせ~!」
一度は夢をあきらめて、就職! (挫折期)
CMプランナーから、店頭ビデオプランナーに (朦朧期)
倒れて気づく。「クライアントは自分」
そして世界一。日本人初の快挙を、まさか私が。
「そもそも映画ってなんなの?」
Lesson1 何を書く?
「脚本ってなんですか?」
設計図としての書式
Step0 私は何を書くべきなのかを見つける
Lesson2 王道! ハリウッド式脚本法
「で、どうやって書くの?」
Step1 「ログライン」を書く
Step2 登場人物を作り込む
Step3 3幕構成にする
Step4 シーンを作る シーンカード入れ替え検証
Step5 セリフとト書きを書く
Interval あなたが天才かどうかという重要な話。
Lesson3 誰でもできる長久式脚本法
「めっちゃ変な書き方。それでいい。」
Step1 はじめに「怒り」と「悲しみ」がある
Step2 音楽を見つける
Step3 エンドロールの歌詞を書く
Step4 映画のタイトルを決める
Step5 ポエトリーリーディング脚本法
Step6 そのセリフをシーンや人物に振り分ける
Step7 音だけの2時間映画を作る
Step8 直し続ける
Lesson4 迷ったとき役立つかもしれない裏技集
「何も浮かばないよ!」
裏技1 絶対に誰にも言いたくない思い出を書く。
裏技2 SNSには書けない「よくない感情」という金脈
裏技3 会話のセリフがうまく書けないなら
裏技4 設定がうまく伝わってないと感じたら
裏技5 タイトルから考えちゃうっていうのはどう?
裏技6 「ポエトリーリーディング脚本法」に欠かせない号泣プレイリスト
裏技7 「うまい」は敵!
裏技8 極論! 10年書かないでみる
裏技9 おもしろくなくてもいいじゃないか(本気で言っている)
Lesson5 書いたあとどうする?
「映像化しちゃう?」
お金集めをどうするか(自腹、賞金、クラファンそれぞれのやり方)
予算別! 映画の作り方(10万円、100万円、1000万円)
実写映画撮影現場での時間削減工夫集(事前準備と心持ち)
ロケ場所についての具体的解決案
Lesson6 あなたにしか作れないものがある
「情緒不安定なあなたは向いている」
「当事者しか知らない感情がある」
「だから、本当のことしか書かない」……