日産「新型エルグランド」はアルファードと「全長もホイールベースも同じ」なのに…乗ってわかった“意外な違い”

日産の高級ミニバン「エルグランド」が16年ぶりにフルモデルチェンジ。かつて市場を席巻したエルグランドは、トヨタのアルファードやヴェルファイアにどこまで迫れるのでしょうか。高級ミニバンの歴史をたどりつつ、首都高を走って新型の実力を確かめます。なお、今回もヨタ話は本編のあとに掲載しています。(コラムニスト フェルディナント・ヤマグチ)

「エルグランドはやられっ放し」は本当か?

 今回は16年ぶりに復活した日産の高級ミニバン、エルグランドの試乗記をお送りする。

 高級ミニバンと聞くと、アルファードの顔を思い浮かべる方は多いだろう。「エルグランドが市場を開拓し、5年後にアルファードが登場し、以来エルグランドはやられっ放し」というのが大方の見方ではあるまいか。この辺りは少し整理が必要だ。時系列で見ていこう。

 まず1990年1月、マツダが日本でMPVを発売した。北米では1988年から売っていたクルマで、3列のシートを備え、エンジンは3リッターのV6。大勢で乗れて、走りにも余裕のある大型のミニバンを、エルグランドが出る7年以上前にマツダは日本で売っていたのだ。

 だがしかし。MPVは市場を取ることができなかった。

 さまざまな理由が考えられるが、まずは価格。この手のクルマに乗る人は、当時“V6を買う”方向に向いていなかった。マツダお得意の“ドライバー目線”もまずかった。家族が乗る2列目の居心地が購買理由であることを見抜けていなかったのだ。“早過ぎた”のもマツダらしい。「高級ミニバン」はまだ日常の主役として熟成し切っていなかった。結果としてMPVは“先行の利”を生かすことができなかった。

 それから5年後の95年8月、トヨタがグランビアを発売する。当時の発売資料には「高級サルーンの質感」とハッキリ書いてある。広いワンボックスに高級車の上質さを持ち込もうという発想は、この時点で既にトヨタが持っていたのだ。