米中間選挙で人工知能(AI)インフラ拡大に懐疑的な勢力が躍進してから2日後、新たな現実がウォール街を直撃した。

 5日の米株式市場の急落で、テック業界のほぼ全ての分野が打撃を受けた。アジアの半導体メーカー、テキサス州の電力会社、ニュージャージー州のコンピューティング事業者、シリコンバレーのソフトウエア企業、請負業者、データセンター開発企業が軒並み下落し、多くは足並みをそろえて下げた。取引が進むにつれて売りが売りを呼ぶ連鎖的な展開となった。

 高レバレッジの取引をしていたトレーダーらは大きな打撃を受けたが、AI株の最近の下落がさらに深まるとは予想していなかった投資家も同様の憂き目にあった。取引開始とともに下落は一段と進んだ。

 メリディアン・エクイティー・パートナーズのシニア・マネジングパートナー、ジョナサン・コルピナ氏は「足元からじゅうたんが引き抜かれたかのようだ」と述べた。「これほどの不確実性が目の前にある中、市場は極めて不安定な状態が続いている」

 5日の午後までに、ハイテク大手7社「マグニフィセント・セブン」の時価総額は合計で約1兆ドル(約157兆4100億円)失われた。フィラデルフィア半導体株指数(SOX)は新型コロナウイルス流行の最悪期以来の大幅な下げを記録した。ナスダック総合指数は調整局面入りし、時価総額で推定2兆5000億ドルが消失した。そしてAIブームの象徴である半導体大手エヌビディアは、2026年の年初来騰落率がマイナスに沈んでこの日の取引を終えた。

 AI関連銘柄が市場を過去最高値へと押し上げ、投資家がアンソロピックとオープンAIの新規株式公開(IPO)計画に期待を膨らませていたのは、ほんの数週間前のことだ。

 その後、圧力が高まり始めた。

 まず、企業が成長のために巨額の負債を積み上げていた、リスクの高いAI取引でほころびが見え始めた。 アマゾン・ドット・コム と アルファベット の期待外れの決算は、市場の取引デスクに動揺を広げた。

 そして今、ワシントンでの権力移行、さらにデータセンター規制を公約に掲げた複数の州知事の当選が、株式市場の脆弱(ぜいじゃく)性を露呈させた。長年続いた強気相場により、米主要株価指数は上位銘柄偏重かつハイテク株頼みの状態となっていた。

 5日の売りはS&P500種指数の全セクターを巻き込む形で拡大し、AI関連株の軟調さが市場の他分野への大規模な資金シフトを促していた直近の相場展開と一線を画した。ナスダック総合指数の下落幅は、ドナルド・トランプ大統領の関税発表が昨年、市場を混乱に陥れて以来の大きさとなった。

ジョージア州で建設中のデータセンタージョージア州で建設中のデータセンター
PHOTO: DUSTIN CHAMBERS FOR WSJ