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宝珠山卓志 モバイルフロンティアを駆け抜けろ!

ゲーム系だけじゃない! ツール系のアプリにも世界に受け入れられる文化がある

宝珠山卓志 [株式会社D2C 代表取締役社長]
【第4回】 2013年8月23日
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ココッパやDECOPICが、
新たな文化を作ろうとしている

前回見てきたように、また、上記の状況でも明らかなように、アプリビジネスの世界はまだまだ(ソーシャル)ゲーム中心であり、世界的にその他のカテゴリーの市場はまだ立ち上がっていないとさえ言える。

 ただそうした中で、ツール系などでも日本発のヒット作が生まれ始めている。たとえば「ココッパ(CoCoPPa)」。これはiPhone上でアイコンを着せ替えられるというアプリ。

 フィーチャーフォンでは、壁紙もアイコンも自由に着せ替えることができたが、iPhoneでは壁紙は替えられるが、アイコンは技術的にできないといわれていた。そこを可能にしたのが、ユナイテッドという日本の会社が開発し、リリースしたココッパだ。これは無料であるが、世界であっという間に人気となり、現在では1000万DLを突破し、年内に3000万DLと予測されている。中でもアメリカでの人気が圧倒的に高い。

 ココッパは、壁紙や背景を自由に変更できるわけだが、特長は膨大な素材が用意されていることだ。アイコンはすでに約190万、壁紙は約20万種類あるという。これらの多くは、利用者自身が作成して投稿している。

 利用者の9割が10代の女性だが、彼女たちにとっては写真編集ソフトを使った加工はお手のものなのだ。ちなみにアイコンのダウンロード数トップは、日本の女子中学生だそうで、世界中で200万人が愛用している。そうしたアイコンの作者と利用者がSNSで触れ合うことができる機能もまた、人気の秘密だ。

 デコメールが日本で生まれたから、スマートフォンのスタンプも生まれ、今、世界中でデジタルコミュニケーションでの感情表現に使われている。「DECOPIC」は、スマートフォンで撮影した写真を300種類以上のかわいいスタンプやフレーム、ペンでオリジナル写真にできるというアプリ。こちらもすでに1000万人がダウンロードしている。

 アニメもそうだし、初音ミクもそうだが、日本はゲームやエンターテインメント系のソフトで、世代を超えて愛される文化を作ることに長けている。その文化がまた、秀逸なビジネスモデルを生むという循環を作り上げている。

ゲーム以外のカテゴリーでも、
日本勢の勢いはきっと止まらない

 再度、フィーチャーフォンのコンテンツ市場の内訳を表した図表2を見てもらいたい。日本には、世界で類を見ない、これだけの市場がフィーチャーフォンで立ち上がっている。連載の第2回でも述べたように、日本のフィーチャーフォンは、タッチインターフェースではなく、表現力やモニタの大きさにやや劣るだけで、その機能はそもそも十分にスマートフォンだった。

 そこにはさまざまな技術的な障壁があるだろうが、早晩、フィーチャーフォンで確立された各カテゴリーのアプリが、現在のスマートフォンに次々と移植されていくことは間違いがないと思う。ココッパなどは、その先駆けにすぎない。スマートフォンがさらに普及していけば、そうした傾向は加速するだろう。

 また、時代は移ろうもので、すでにフィーチャーフォンを経験していない、スマートフォン世代の若者も登場してきている。スマートフォン・ユーザーとフィーチャーフォン・ユーザーのライフスタイルの違いもあるだろう。

 そのために現在では、カテゴリーに分断が起こっているという面も指摘されるが、フィーチャーフォンで一世を風靡したコンテンツが、全く新しい新鮮なサービスとして、スマートフォン世代に受け入れられるということもあるかもしれない。

 そもそも、世界で唯一、フィーチャーフォンのコンテンツ市場がここまで伸びた国なのだから、スマートフォン市場でも同じことが繰り返される確率は決して低くない。

 今後も、フィーチャーフォン市場でしっかりと根付いている各種のアプリが、あるいはまったく新しい発想のサービスが、スマートフォン市場に登場し、グローバルなプラットフォームに受け入れられ、世界を席巻するという図は繰り返されるはずだ。

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宝珠山卓志
[株式会社D2C 代表取締役社長]

1972年2月9日生まれ・東京育ち・妻と子供一人・趣味はシャンパーニュ。
1995年早稲田大学社会科学部卒業後、電通入社。マーケティング局配属後、第7営業局NTTドコモ担当。2000年D2Cへ出向。営業部長、営業推進部長を経て、2004年取締役COOに就任。2010年代表取締役に就任。現在に至る。

宝珠山卓志 モバイルフロンティアを駆け抜けろ!

モバイルマーケティングの第一人者が、業界動向や日々の話題にふれつつ、日本あるいは日本企業が持っている力の再検証と、それらを踏まえたグローバル市場における日本企業のポテンシャルを前向きに検証していく。

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