ガートナー
シニア・
バイス・プレジデント
リサーチ部門最高責任者
テクノロジー業界で唯一明確なのは、物事が常に変化しており、「クラウド」「モバイル」「ソーシャル」「インフォメーション」の4つの力の結び付き、すなわちガートナーが「Nexus of Forces:力の結節」と呼ぶものが、IT主導のビジネス変革を劇的に加速させているということだ。
こうした見解は、今年も世界8ヵ所で開催されるガートナーのSymposium/ITxpo 2013(http://www.gartner.com/technology/symposium/)にも反映されている。
私たちは引き続き、Nexus of Forcesの4つの力それぞれに注目すると共に、これらの結び付きがIT業界や組織内のIT活用、IT企業自体をどう変えているのかに焦点を合わせていくつもりだ。
たとえば、「クラウド・コンピューティング」への移行は、ITの産業化を意味しており、IT専門家による職種をひとつの産業へとシフトさせている。また、いかにして「モバイル」機器が人と人、機械と機械、人と機械など広範囲にわたるアクセスを可能にしていくのか。どのように「ソーシャル・コラボレーション」が、ソフトウェアの設計方法を一変させる強力なコラボレーションを実現していくのか。
そして最後に、いかにして「情報」(私はあえてビッグデータと呼ぶことを躊躇している―その理由については、今後のブログで明らかにしたい)の存在が、革新的な新しい収入源をもたらす「情報レイヤー」を企業内に形成するかについて。
これら4つの力は単独の状態でも、結び付いた状態でも、従来のITに前例のない変化をもたらしている。さらに、私たちの調査では、ビジネスのあり方をも根本的に大きく変化させていることを明らかにしている。これは昨年のガートナー Symposiumの基調講演で指摘したこと(動画)だ。
力の結節による変化の例のひとつは、ITと製品開発が不可分の関係になったことである。どういうことか? CEO(最高経営責任者)ならば端的にこう自問してほしい。「誰が製品開発および管理の責任を負うべきなのか?」この答えは、昔ほど明確ではなくなっている。理由は次の通りだ。
歴史的に見て、製造業でもサービス業でも、製品開発・管理にITが関与することはめったになかった。しかし今は、まったく違う。
私は銀行など、サービス提供を主とする企業の経営者らとよく話す機会があるが、これらの企業では目下、製品開発とその管理の権限はCIO(最高情報責任者)が担っている。ガートナーは、これがあらゆるサービス業で当たり前になると確信している。
同様の変化が製造業でも起こり始めている。自動車メーカーや一般消費財事業の経営幹部と最近、まさにこの点について話し合った。このディスカッションで明らかになったのは、製品開発および管理の将来像やガバナンス・モデルのあるべき姿を、CEOが十分に描けていないことだ。