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宝珠山卓志 モバイルフロンティアを駆け抜けろ!

【特別寄稿】ドコモのiPhone取り扱いが迫る、
国内メーカーに残された戦略

宝珠山卓志 [株式会社D2C 代表取締役社長]
【特別寄稿】 2013年9月13日
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 フィーチャーフォンは折り畳むか畳まないかでも違うし、操作性や物理的なボタンの配置や形状など、制約要件があるからこそ、創意工夫の余地がある。スマートフォンにはそれがない。一目見て、どこの製品かもわからない。

 日本はフィーチャーフォンの時代が長かった。その間、買い替えサイクルは他国より短く2年に一度程度だった。キャリアがリードする環境で、機能もどんどんと加わり、1年に一度はメジャーなアップデートがあった。そして2年で最新の機種に代替わりするというビジネスモデルだった。そのサイクルの中で、その度にユーザーのリテラシーは向上し、文化も端末のレイヤーもスペックも様変わりする。だから、皆必死だった。常に差別化が求められ、それに応えてきた。

 そしてスマートフォンの時代となり、開発競争はグローバルへ。フィーチャーフォンに比べれば、開発費もかさむ。グローバル市場でのシェア競争に勝たなければ、その開発費も捻出できない。そのためにも、差別化戦略がどうしても必要なのだが、それに後れを取った。

 アップルやサムスンに加え、中国のメーカーも台頭し、日本のメーカーは海外市場で存在感を示せなかったどころか、お膝元である日本市場でも守勢に立たされてしまった。スマートフォン端末では勝ち組と言われるサムスンでさえ苦戦が伝えられ、iPhone 5sや5cを出すアップルですら株式市場は評価していない。それほど厳しい市場なのだ。撤退は悲しむべきではなく、ビジネスとして当然の帰結なのだろう。

垂直統合、差別化、MVNO

 飽和していく市場を見越して、ターゲットを限定し、垂直統合のモデルを展開することは、新たな市場を開拓する可能性を秘めている。日本では従来、垂直統合は通信キャリアだけに許されたモデルであったが、そのモデルを真似して覆しはじめたのがアップルであり、アマゾンだ。

 アップルはそもそもメーカーである。製造業であるメーカーが、iTunesやApp Storeなどのサービスを組み込んで成功したモデルだ。逆にアマゾンはサービス会社であり、Kindleによりメーカーとしても市場に参入して、成功モデルを描こうとしている。グーグルはモトローラを買収して垂直統合をめざし、マイクロソフトはノキアの端末部門を買収する。いずれも垂直統合を行い、ハードウェアとソフトウェアの親和性を高め差別化しようとしているわけだ。なかなか難しい課題だが、戦略上そこに向かわざるを得ない。

 日本のメーカーも、通信キャリアの傘下で製造業に徹している必要はないのである。優秀な製造業であるという利点を生かしながら、サービスを取り込み、垂直統合のモデルを展開してもいいはずだ。通信キャリアのしばりが厳しかったと言われてしまいそうだが、ソニーはどうか?エリクソンの機器部門を買収し、音楽や映画のサービスを組み込もうと躍起になっている。なぜ国外の企業ができて、日本の企業にはできないのか?

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宝珠山卓志
[株式会社D2C 代表取締役社長]

1972年2月9日生まれ・東京育ち・妻と子供一人・趣味はシャンパーニュ。
1995年早稲田大学社会科学部卒業後、電通入社。マーケティング局配属後、第7営業局NTTドコモ担当。2000年D2Cへ出向。営業部長、営業推進部長を経て、2004年取締役COOに就任。2010年代表取締役に就任。現在に至る。

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モバイルマーケティングの第一人者が、業界動向や日々の話題にふれつつ、日本あるいは日本企業が持っている力の再検証と、それらを踏まえたグローバル市場における日本企業のポテンシャルを前向きに検証していく。

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