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スマートフォンの理想と現実

日本はキャッチアップできるか?
見えてきた通信と放送、サービス融合の近未来

クロサカタツヤ [株式会社 企/株式会社TNC 代表]
【第51回】 2013年9月25日
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 実際、IBCで訪れたオランダにおいても、TVでNetflixのCMが流れていたが、そこで提示されている視聴方法の中でもXboxで入っている。また同サービスは、Xbox経由での利用が相当多いとも伝えられる。コンテンツ単位のペイパービュー等のビジネスモデルと、家庭用のテレビに結びつけられたゲームコンソールは、相性がいいということだ。

 昨年のIBCでも、BBC等の欧州の放送事業者から、「XboxがSTBの本命である」という声が聞かれたが。今年はそれがさらに進んで、すでに当然のものとして受け入れられているように見えた。

 今年末からゲームコンソールが次世代に移行するタイミングとなっており、それに同調してサービス面でも大きな展開を見せていく可能性が高い。今回のIBCではそれらに関連したアナウンスは特に見られなかったことを考えると、来春のCESやMWCでは、この領域について何らかの大きな動きが見られる可能性があるといえるだろう。

実はここにもビッグデータ

 ただ、その嚆矢であるNetflixについても、早くも競争の激化にさらされており、そう簡単に収益を期待できるビジネスではない。すでにこうしたサービスは、ユーザーの利便性の上に、さらなる付加価値をどう上積みしていくか、という議論に入っている。そこでキーとなるのが、ビッグデータによる視聴行動の把握だ。

 スマートテレビでは、従来の家庭ごとに時間で区切られた視聴率の枠組みを超えて、いつ・誰が・どのような経路でコンテンツを視聴したのか、より詳細に把握できることが期待されている。IBCでもビッグデータは放送ビジネスにとって「ゴミの塊か宝の山か」と議論されていたが、すでに映像コンテンツビジネスにとって無視できないものというコンセンサスは揃っていた。

 視聴者のタッチポイントを詳細に把握することは、従来のメディアビジネスの枠組みでは困難であった。しかしタブレットやスマートフォンを介することで、視聴行動そのものはもちろん、どうやってコンテンツに辿り着き、いつどう見たのかという、前後の導線が明らかになる。

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クロサカタツヤ
[株式会社 企(くわだて)代表取締役、慶應義塾大学特任准教授]

1975年生まれ。慶應義塾大学・大学院(政策・メディア研究科)修了後、三菱総合研究所にて情報通信分野のコンサルティングや国内外の政策調査等に従事。その後2007年に独立し、現在は株式会社企(くわだて)代表として、通信・メディア産業の経営戦略立案や資本政策のアドバイザー業務を行う。16年より慶應大学大学院政策・メディア研究科特任准教授。


スマートフォンの理想と現実

2011年はスマートフォンの普及が本格化する年になる…。業界関係者の誰しもがそう予感していた矢先に発生した東日本大震災は、社会におけるケータイの位置づけを大きく変えた。しかし、スマートフォンの生産に影響が及びつつも、通信事業者各社はその普及を引き続き目指し、消費者もまたそれに呼応している。震災を受けて日本社会自体が変わらなければならない時に、スマホを含むケータイはどんな役割を果たしうるのか。ユーザー意識、端末開発、インフラ動向、ビジネスモデル等、様々な観点からその可能性と課題に迫る。

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