あかい・のぶお
1968生まれ。1994年大阪大学経済学研究科博士課程単位取得終了、98年大阪大学博士(経済学)、大阪大学准教授を経て、2011年大阪大学国際公共政策研究科教授。専門は公共経済学、財政学、公共政策。関連主要書籍に『交通インフラとガバナンスの経済学- 空港・港湾・地方有料道路の財政分析-』(有斐閣 )、『行政組織とガバナンスの経済学―官民分担と統治システムを考える―』(有斐閣)がある。

日本の成長を左右する
空港発着枠問題

 現在、国土交通省において、羽田空港の国際線発着枠の配分決定作業が大詰めを迎えている。日本は海に囲まれた島国であり、グローバル社会の進展の中で、空港は、世界への窓口となる。その空港が有効に活用されるのかどうかは、日本の将来の成長に大きな影響を与える。

 具体的には、ビジネスにおいてもレジャーにおいても、利用者が、適正な価格で、必要とする時間帯に、必要な場所に向けた航空路が確保されていることが大事である。そのためには、市場のニーズに応じた航空路設定がなされ、競争環境の下で、不必要な規制は緩和・除去されていなければならない。国全体として、より高い効率性を達成することこそが日本の発展につながるのである。

ふくい・ひでき
愛媛大学法文学部総合政策学科教授。1967年生まれ。1995年京都大学法学研究科政治学博士後期課程単位取得満期退学。専門は政策分析。関連論文にFukui, H., "An empirical analysis of airport slot trading in the United States," Transportation Research Part B, 44(3), pp.330-357.などがある。

 しかしながら、主要な大都市空港では、依然として混雑が見られ、自由に路線を設定し発着することが困難となっている。羽田空港ばかりでなくこのような空港に関しては、政府によるコントロールが必要となる。

 どのようにコントロールすることが、最も効率的効果的で、日本の将来の成長を促すのであろうか? 2020年オリンピック・パラリンピックの東京開催決定に伴い、羽田、成田両空港の一層の機能強化に向けた検討が始まろうとしている今、日本でその在り方を議論する意義は高い。