一方、EUの送電会社は成長意欲を持つ存在だとの認識も必要である。

 EUの送電会社は、発送電分離がなされ、インフラファンド、海外送電会社等の出資により電力会社から独立し、統合も進んでいる。各国の送電会社が、国内で電力の不足分を補うための需給調整市場を自主運用してもいる。

 再生可能エネルギー接続のため、新たな送電網整備が必要となっているが、国としての目標達成に協力するために、送電会社は前向きに取り組んでいる。送電会社の事業の成長意欲が、常に進化成長する活力ある電力システムを生み出すことにつながっている。

明確ではない組織作りの方針

 茂木経済産業大臣は2013年4月の電気事業法改正案の閣議決定後、「東日本大震災の影響による昨今の電力需要の逼迫状況を踏まえ、電力システム改革の三本柱の一つである広域系統運用の拡大などを実現することで、電力の安定供給の確保に万全を期す」と電力システム改革の第一弾である広域機関(広域的運営推進機関)の実現に向けた決意を表明している。

 その決意の通り、2013年秋の臨時国会で可決が予想される電気事業法改正案には、広域機関組成が改革の第一段階として盛り込まれている。それに続く形で、第2段階として「電気の小売業への参入の全面自由化」、第3段階として「法的分離による送配電部門の中立性の一層の確保」が予定されている。

 地域独占構造の下で柔軟性を失った電力システムを改革するためには、電力会社を越えた権限が必要となる。その意味で、電気事業法改正において、広域機関から電力システム改革がスタートすることは望ましい。

 ただし、日本の広域機関の設計は広域の送電運用という様々な利害関係者を巻き込み、強大な権力を生み出しかねない広域運用機能をいかにガバナンスするかという配慮が十分とは言えない。