通信販売の支払い方法として定着している「代金引き換え決済(代引き)」の規制導入をめぐり、金融庁と関係業界が対立を深めている。宅配業者のみならず、通販業界、百貨店業界も「絶対反対」の大合唱。なぜこんなにも意見が対立し、こじれてしまったのか。原因を探ると金融庁は3つの大きなミスを犯していた。
経済産業省、国土交通省、内閣府・規制改革会議、全日本トラック協会、日本通信販売協会、日本百貨店協会。
12月10日に開かれた金融庁の「決済に関するワーキンググループ(WG)」最終回。代引き規制反対の立場でWGメンバーとして金融庁と戦ってきたヤマト運輸グループが提出した資料には、自らの意見書に加え、官庁や団体組織の意見書がてんこ盛りにされていた。いずれも「代引きに規制はいらない」という立場で導入が検討されている規制への反論がしたためられていた。
金融庁は「為替取引の開放」をうたい、法整備を進めている。資金を移動させる「為替取引」は銀行法の下で銀行のみに認められているが、実質的には電子マネーなど銀行以外の事業者の市場が拡大している。金融庁にいわせれば、銀行以外は“グレーゾーン”。グレーの事業者にも決済サービスを認める「規制緩和」の名の下、監督下に置く体制を敷こうというのだ。
2008年5月に始まったWGは12月10日に最終回を迎えたが、代引き規制に対する宅配業界らの猛反発を受け、意見を一本化できずに報告書は両論併記のまま。金融庁は08年内に金融審議会の部会で結論をまとめ、09年の通常国会での法案提出を目指すが、反対の大合唱がやまないなかで計画どおりに進むかは怪しい状況だ。
代引きは今回の規制対象のほんの一部にすぎない。しかし代引きをめぐる混乱の原因を探ると、今回の法整備全体にかかわる根本的な問題が浮かび上がってくる。