ガートナー
バイス・
プレジデント 兼
ガートナー フェロー
「チャプター33」をご存じだろうか? これはウォール街で使われているジョークだが、「チャプター11」(米連邦破産法第11章)による破産処理を3回経験した企業を指している。ビジネスにおいて戦略的変革を考える際には、実際にこうした現実があることを認識すべきだ。
大企業にも終わりが確実にやってくるが、それは非常にゆっくりと訪れるということだ。その主な理由とは、旧来の商品には、減っていくとはいえ忠実な顧客層がついている。そこからもたらされる収入はしばらく続いていくためだ。
今日における非デジタル(アナログ)な製品やサービスは、やがて消えゆく収入源である。幸いなことに、その多くは長期的にゆっくりと目減りしていく。
そのため、現在生じているキャッシュフローは、デジタルの強力な代替品をシステマチックに計画、開発、育成、発展させるための投資へと振り向けるべきなのだ。 また、新たなデジタル世界から得られる学習やアイデアを活用することで、旧来のアナログ製品からの収入を少しばかり延命させることに役立つかもしれない。それができれば財務的にも円滑に移行させていくことにもなろう。
この考えが浮かんだのは、昨日、近隣の職業別電話帳の最新版を手にした時だった。そう、電話帳はまだ存在するのだ。
ただし右の写真の通り、腕が疲れるほど重たい昔ながらの電話帳に比べて、はるかに小さく手頃なサイズで、以前よりも薄い。
近隣のサービスを探す場合、いまどきなら誰もがオンラインかスマートフォンを使って探すだろって? いや、どうやら違うらしい。今なお、便利な紙のガイドにはニッチな市場性があり、そこに広告料を出す意欲のある水まわりの補修業者やTV用アンテナの設置・撤去業者は確実に存在しているのだ。