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インキュベーションの虚と実

お行儀が良すぎる今の起業家へ送る至極の提言!
「現実歪曲空間を放ち、圧倒的世界一を狙え!」
——国光宏尚(gumi社長)×小林清剛(前ノボット社長)×宮澤弦(ヤフー検索事業責任者)鼎談

本荘修二 [新事業コンサルタント]
【第37回・最終回】 2013年10月21日
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逆算して計画することが大事
もっと海外のことをちゃんと考えろ

国光 “逆算”しない起業家が多い。3年後にゲーム業界で世界1位を取るなら、少なくとも1~2割のシェアを取らないといけない。業界全体の世界の市場規模が3兆円くらいなら、2割のシェアというと、だいたい6000億円。1つのゲームの売上はどのくらいで、6000億円の売上高を達成するなら、いくつゲームが必要か。では開発に関わる人数は何人か、と逆算できる。1年目にはどこまで成長しているべきか、2年目はどうかと、具体的にオペレーションに落としていく。そうやって考えていかないとだめ。

小林 海外を目指すと言っている起業家は多いけど、行く国の市場をあまり知らないで進出しようとする人が多い。同じようなサービスが既にあるということもある。ちゃんと調べた方がいい。

国光 みんなちゃんと考えない。モバイルゲームやアプリを英語にしてアップストアに出したら海外展開と思っている人が多過ぎる。実際、日本の市場では中国や米国の会社は、ほとんど日本の会社に負けてしまった。つまり、ローカルの会社は手強いということ。ローカルの手強い相手に勝っていくためには、ローカルの優秀な開発チームが必要だということ。

 それからPRや現地のことを知り尽くしたマーケティングチームも必要だ。それから、もしフランス語で製品を出すと、当たり前だけどフランス語で問い合わせがくる。ローカルの法務も必要。そういうことをすべて対応できるっていうことが、グローバル対応するということ。

小林 韓国の起業家は、最初からグローバル市場を見ている人が多いですよね。でも日本の起業家は、世界のことを知って、世界市場で戦うことになる競合企業のことを語れる人が少ない。

国光 日本は決定的に苦労するだろうな。グローバルでのビジネスオペレーションの経験者が少なすぎる。

 ゲームなどのエンターテインメントの業界では、コンテンツの製作費は昔は1000万円程度だったのが、今や1億円近くになっている。そのうち、これが10~20億円になる。日本の高い人件費じゃムリで、海外の人件費が安いところで、できるだけ安く開発する必要がある。

 つまり、グローバルサプライチェーンを全体で構築するということ。仕組みをつくっていかないと勝てない。仕事の要件定義をして業務を定型化し、生産管理する。こういうことができる人は日本にはなかなかいない。日本では、ドキュメントはおざなりで、仕様も書かないことがほとんど。だからグローバルで競争力がある開発は難しい。

 でも、海外にはグローバルサプライチェーンを構築できる人材はいる。米国人は経験者がいっぱいいる。

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本荘修二

新事業を中心に、日米の大企業・ベンチャー・投資家等のアドバイザーを務める。多摩大学(MBA)客員教授。Net Service Ventures、500 Startups、Founder Institute、始動Next Innovator、福岡県他の起業家メンター。BCG東京、米CSC、CSK/セガ・グループ大川会長付、投資育成会社General Atlantic日本代表などを経て、現在に至る。「エコシステム・マーケティング」など著書多数。訳書に『ザッポス伝説』(ダイヤモンド社))、連載に「インキュベーションの虚と実」「垣根を超える力」などがある。


インキュベーションの虚と実

今、アメリカでは“スタートアップ”と呼ばれる、ベンチャー企業が次々と生まれている。なぜなら、そうした勢いある起業家たちを育てる土壌が整っており、インキュベーターも多く、なにより、チャレンジを支援する仕組みが存在するからだ。一方の日本はどうなのだろうか。日米のベンチャー界の環境の変化や最新のトレンドについて、25年にわたってベンチャー界に身を置いてきた本荘修二氏が解説する。また日本でベンチャーが育ちにくいと言われる背景を明らかにし、改善するための処方箋も提示する。

「インキュベーションの虚と実」

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