今週、多くの企業で本決算の発表が行なわれます。昨年のリーマン・ショックをきっかけに世界中で広まった大不況は、日本企業にも多大な影響を与えそうです。
そんな状況下、業績が大幅に悪化した企業の多くが、派遣社員や契約社員の継続打ち切りだけではなく、内定の取り消し、正社員の大幅な給与カット、実質的な退職勧告など、人件費削減の動きを加速させています。いわゆる「5月危機」です。
「リストラだけはしたくない。だからこそ、ワークシェアリングをやってでも雇用を守りたい」
なかには、そんな気持ちから、社員の勤務日数を減らし、やむなく給与を削減している企業もあります。
しかし一方で、「これだけ業績が悪化しているのだから、業績の下落率に連動して人件費を削減するのは当たり前だ」と、大幅な給与カットや大量のリストラを推し進めている企業もあります。
確かに、これほど急激な業績悪化は、会社にとっても予想外であり、「人件費も含めてコストを大幅に削減しなければ、会社として存続できない」という危機感が広がっているのだと思います。
しかし、こんなときほど社員の“感情”をよく考えてみてください。メッセージの出し方次第で、社員の経営への信頼は大きく変わって来ます。
信頼を大きく失うことにもなるし、逆に社員が「ここで本気で頑張らねば」という気持ちにもなる。メッセージ次第で、社員の感情や職場の感情は大きく変わります。
それでは、どのようなメッセージを出し、どのような動きをとればよいのか? ぜひ、一緒に考えてみてください。
リストラそのものは仕方ない
大切なのは「社員への真摯な姿勢」
こういう状況で一番問われるのは、「メッセージのなかに社員への思いやりや人に対する真摯な姿勢が貫かれているか」です。
人をただの道具や部品のごとく考え、「会社の存続のために大幅な給与カットやリストラをすることは当然だ」といったメッセージを出してしまうと、社員の心は会社から急速に離れて行きます。