合コンでモテモテの有名大学卒・エリートビジネスマンが、じつは借金まみれ――。
緒方学人さん(仮名・31歳)が、真剣に婚活に取り組めないのにはわけがある。多重債務者だからだ。
慶應義塾大学を卒業後、一流企業に入社。同期の中でもいち早く管理職に昇進している。月収45万円で、年収は800万円ほど。そんな彼が多額の借金を背負いこんでいようとは、誰も想像しないだろう。
「原因は株式投資の失敗です。一時は信用取引でバンバン儲けていました。ブランド品を買いまくり、毎晩豪遊していました。ところが3年前のある日、保有株が大暴落したんです。とはいえ、一度上げた生活レベルはなかなかもとに戻らない。自転車操業的に借金を繰り返していましたね」
男性の高額消費が話題になったミニバブル期。一度上がった生活レベルはなかなか落とせないもの |
結局、クレジットカードのローンも含め5社から借金。完全な多重債務に陥った。その額は500万円ほどに膨れ上がったという。それにもかかわらず、緒方さんには借金を抱えているという自覚がなかった。当時、ネットの副業も始めており、毎月5~10万円の稼ぎになっていた。「本腰を入れれば、いつでもまとめて返せる」と軽く考えていたのだ。
現実を直視したのは、「運命の彼女」と出会ってからだ。
合コンで知り合った、控え目で清楚な女性。それまでまじめに恋愛をしてこなかった彼は、一目で夢中になった。
「彼女にふさわしい男になりたい」
その一念から、節約に精を出すようになった緒方さん。ランチタイムは持参したおにぎりをもってこっそり公園へ。好きなビジネス書もブックオフで購入するようにした。アフターファイブはおもに合コンに精を出していたが、ふっつりとやめ、めいっぱい残業するようになったという。
それでもクリスマスデートでは、5万円するシャンパンのハーフボトルを抜き、1泊8万円の一流ホテルに泊まる、という矛盾した行動をとってしまった。恋は盲目である。
いつしか結婚話も出るようになっていた。式場のブライダルフェアに足を運んだら、彼女の実家に挨拶に行こう――。何もかもうまくいきそうに思えた。そう、あの日までは。