技術詳細、事業構想はノーコメント
グーグルは何をしようとしているのか?
2013年10月15日午前11時、東京ビッグサイト会議棟6階、インターナショナル・カンファレンス・ルーム。ITS世界会議の初日、エグゼクティブセッションのキックオフは「自動運転車の実用化に向けて(Autonomous Vehicle-the Path to the Implementation)」だった。
参加者は日本自動車研究所、グーグル、コンチネンタルジャパン、そしてフランス国立情報学自動制御研究所の関係者だ。このなかで、会場に集まった人々が最も注目していたのは当然、グーグルだ。なぜなら、同社が現在、米ネバダ州とカリフォルニア州で、トヨタ「プリウス」やレクサス「RX」を使用して実施中の自動運転技術について、日本で情報公開されることは稀だからだ。
しかし、今回のグーグルのプレゼンは“期待ハズレ”だった。登壇したロン・メッドフォード氏(Director of Safety Self-Driving Car)が用意したパワーポイントファイルの内容は実にシンプルで、技術詳細は全くなかった。また、具体的な将来の事業構想についても全く触れなかったからだ。さらには、司会の「Car-Smart News」編集長ゲラルド・コノーバー氏(PRC AssociatesのManaging Director)が突っ込んだ内容の質問をぶつけても、メッドフォード氏の回答は極めて抽象的だった。
そうしたなか、同セッションの開始直前と終了直後、筆者はメッドフォード氏と立ち話をした。そこで同氏は商品化の目処について“5年程度”という筆者の予想に同意した。また、その3日後、同氏はNHKのインタビューに対して「4年以内の実用化を目指して開発中」と答えている。
実はメッドフォード氏、今年1月にグーグルに入社したばかり。前職は米国の自動車安全規定を統括する、米運輸省道路交通安全局(NHTSA)の副局長だった。この天下り的な転職こそ、グーグルの自動運転商用化に向けた本気度の高さを示している。
では、グーグルは自動運転で何を「商売の種」にしようとしているのか?