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「デジタルな日常」を生きる

新型iPadの発表でわかった
「デバイス」進化の(ほぼ)打ち止めと、
「やること」を届けるアップルの姿勢

松村太郎 [ジャーナリスト・著者]
【第6回】 2013年10月30日
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 同様の問題がパソコンにも起きている。Microsoftの最新OSは「ウィンドウズ8.1」だが、現在2001年11月に発売された「ウィンドウズXP」について、2014年4月8日に延長サポートを終了するとして、世界中のユーザーや企業は対応を迫られている。ウィンドウズは新規購入するパソコンにあらかじめ導入された状態になっていたが、購入するとなると、1万円を超える買い物となっていた。

 アップルはすでにパッケージソフトでのOS流通から、「Mac App Store」というオンラインストアでMac向けOSである「OS X」を「販売」してきた。6月の開発者向けイベント「WWDC2013」ですでにアナウンスされてきた最新版の「OS X 10.9 Mavericks」については、22日の発表で「無料」でアップグレードできるようにした。OSの世代で3世代前、導入できるMacは2007年のiMacにまでさかのぼることができ、しかも無料だという。

 急速に幅広いユーザーが最新のOSへと更新するそのスピードを確保したいような施策は、開発者のためだ。最新のプラットホームで利用するユーザーが増えることは、前述のMac App Storeでアプリを配布・販売している開発者にとって、より最新のテクノロジーやAPI(ソフトウェア同士の接続プログラム)を利用したアプリ開発と、それが利用できるユーザーの拡大に直結する。

 同時に、新規Mac購入ユーザーには、写真編集・ビデオ編集・音楽作成の3つのアプリからなる「iLife」と、ワープロ・表計算・プレゼンテーションの3つのアプリからなる「iWork」を無料でダウンロードできるようにした。iWorkはOfficeに相当するアプリケーションで、これを無料で添付したと見ることもできるが、Officeが必要なビジネスユーザーにとって、Mac版のOffice(マイクロソフト製)は売れ続けるだろう。

 おそらくいまのアップルは、マイクロソフトのビジネスを圧迫しようという意識で各種アプリの無償化をすすめているわけではない。

 ではその別の目的とは何だろう。

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松村太郎
[ジャーナリスト・著者]

まつむら・たろう/1980年生まれ・米国カリフォルニア州バークレー在住のジャーナリスト・著者。慶應義塾大学政策・メディア研究科卒。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)、キャスタリア株式会社取締役研究責任者、ビジネス・ブレークスルー大学講師。近著に「スマートフォン新時代」「ソーシャルラーニング入門」など。

「デジタルな日常」を生きる

スマホ、SNSなど、毎日の暮らしに欠かすことのできなくなったネット環境とデジタルツール。その一方で、セキュリティやプライバシーの問題、ツールへの依存、ネットコミュニティとの関わり方など、日々新たな問題が現れ、状況は変化している。私たちは「デジタルな日常」をどう生きていけばいいのか、米国シリコンバレー在住の記者が、生活者の目線で解説する。

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