IT投資について考える際、モバイル時代になると、一般消費者の方がエンタープライズよりも、テクノロジへーの対応のスピードが速い側面が目立つようになった。
スマートフォンの所持や、主たるコンピューティング・ネット環境のパソコンからスマホへの移行など、金額の安さや生活必需品としての存在感も助けて、デバイスの移行速度に勢いがつく。「BYOD」(Bring Your Own Device、自前の機器の企業への持ち込みと活用)についても、消費者の移行速度の速さから過渡期的に起きたことだ。
またクラウド活用についても同様かもしれない。GoogleのAndroidやAppleのiOSを使えば、バックアップや写真の共有、メールの読み書きなど、消費者が意識しているかどうかは別にして、自然とクラウドを使いながら日々を過ごすことになる。
今回紹介するのは、スマートデバイスとクラウドをフル活用してレストランを作ったら、という話。普段使い慣れたデバイスで、レストランのオペレーションができるようになる世界を見せてくれるが、そこからの学びは何だろうか。
筆者は先日、最新テクノロジーを活用した埼玉県新座市、志木駅近くにある「トラットリア・トリニータ」へ取材と称して食事をしにいった。そこには、テクノロジーを活用しているから物珍しい光景がある訳ではなく、料理とワインが楽しめるしゃれたレストランの姿があった。
モバイルとクラウドは、
スモールビジネスの味方
米国で暮らしていると、モバイルやクラウドのビジネス向けサービスは、テクノロジーに大きく投資できる大企業よりも、むしろローカルやスモールビジネスでの活用シーンを見かけることが多い。
例えばスマートフォンやタブレットのイヤフォンジャックに差し込むだけでクレジットカード決済が可能となるSquareは、個人商店や屋台などでのクレジットカード対応を爆発的に広げている。Squareの創業者のアイディアのきっかけも、ATMへ走らず小さなお店での購買ができるようにすることだった。同社のビジネス状況はよいとは言えないが、すでに「つぶれては困る会社」になっている。
またレストランを含むローカルビジネス検索とレビューのアプリYelpは、新規オープンしたお店にとって新聞広告よりも重要なプロモーション手段となった。店の予約管理やアプリから予約を受け付けるOpenTableも、モバイルを生かした集客を統合したオペレーションを実現している。