米国の都市で生活していると、いくつかの必需品となるアプリがある。友人とのコミュニケーションに利用するFacebookや、タクシーを捕まえるUberなどがあるが、その筆頭にあげられるのが「Yelp」だ。このサービスはレストランに限らず、ローカルビジネス全般を検索することができ、またユーザーがレビューと星数による評価を行うことができるコミュニティを提供している。

 米国の都市でなにか必要なことがあったら、とりあえずYelpアプリを開いて調べる、というのが1つの行動パターンになっている。なお日本でも、2014年4月9日にサービスがスタートした。同社のCEOジェレミー・ストップルマン氏が来日した際のインタビュー記事が既にダイヤモンド・オンラインに掲載されている。

Yelpとは

 Yelpが最も活躍するシーンは、レストランを探すときのことだ。日本にもぐるなびや食べログといったレストランレビューと検索のサービスは存在しているが、Yelpの方が快適だと感じる理由は、アプリを開いて検索をする瞬間にある。

 Yelpは、iPhoneやAndroid向けのモバイルアプリで検索しようとすると、「Current Location」、すなわち自分が今いる場所の周りのお店というフィルターをかけてくれる。例えば「Itarian」と調べると、自分の周りのイタリアンレストランを地図上に示してくれる。ちょっとしたことなのだが、この自分の近所を調べるという前提が非常に快適に感じる。

 確かに、最も評判のよいイタリアンのお店を知りたいときもあるが、モバイルで検索する場合、これから行こうとするお店が15km離れたサンフランシスコ市内では、役に立つ情報とは言えないだろう。灯台もと暗し、ではないが、地元にあるよいお店を見つけるレーダーとして、Yelpが役立つシーンを何度も経験してきた。

 Yelpは2004年にスタートしたローカルビジネスの検索とレビューのサービスだ。10年間の間に、月間ユーザー数は1億人を突破している。ビジネスモデルは店舗による広告出稿で、検索画面で優先的に表示を行ったり、ページ閲覧のレポート分析を見ることができるようになる。

 2008年に、GoogleがYelpを買収しようとしていたが、これを断ったことが報じられた。結果としてGoogleは現在、ローカル検索を自前で用意し、Google検索やGoogle Mapsなどのサービスと統合しているが、米国市場でYelpほどの影響力を持っているとは言えない。Google MapsをiOSから取り除き、独自の地図を使い始めたAppleは、米国ではYelpのデータを活用して店舗や施設の情報を表示し、同時にレートやレビュー、写真などを表示している。2012年にYelpは株式上場を果たしている。