日本女子サッカー発展のキーマン、日本女子サッカーリーグの専務理事・田口禎則氏(左)とボストン コンサルティング グループ日本代表・水越豊氏

「なでしこジャパン」の活躍で一躍有名になった女子サッカー。その日米の競技人口比をご存知だろうか? 登録ベースで比較すると、アメリカの女子サッカー人口170万人に対し、日本のそれはわずか4万5000人。実に、約40倍もの開きがある。

2011年のFIFA女子ワールドカップで、日本代表は競技人口規模で勝るアメリカ代表に勝利して優勝。一躍、その名を世界に轟かせた。代表を輩出する「PLENUSなでしこリーグ」の運営でも、日本はアメリカをしのぐ手腕を見せている。

一時は“どん底”と言える状態にもあった女子サッカーリーグはいかにしてそこから這い上がり、現在の地位を築き上げたのだろうか?ボストン コンサルティング グループ日本代表の水越豊氏が日本女子サッカーリーグの専務理事、田口禎則氏にそのプロセスと成功のポイントを聞いた。
(構成 曲沼美恵/撮影 宇佐見利昭)

分担金を払えないチーム続出で
「リーグ存続の危機」が叫ばれる

水越 女子サッカーと言えば、今では知らない方はいないくらい有名ですし、スポンサーにつきたいという企業もたくさんあるかと思います。しかし、ここに至るまではいわゆる暗黒時代と言いますか、スポンサーもほとんどつかず、テレビ放映もされず、リーグ・チーム共に台所事情が苦しく「存続の危機」が叫ばれた時期もあった、と伺っています。

 サッカーでもビジネスでも、重要なのはやはり、「辛い時にどれだけ前を向けるか」ということ。現在の女子サッカーの状況を見ると、“どん底”を経験したからこそ今がある、という気がしてなりません。