米国株式市場の特徴として、アップルなどのハイテク企業や、コカ・コーラなどグローバルな消費者ブランド企業の構成比が大きい点が挙げられる。また、エクソンモービルやシェブロンなどのエネルギー企業、バークシャー・ハサウェイといった金融など、伝統的産業も大きい。

 かつては、日本は「ものづくりに強い」と言われたものである。しかし、残念ながら、それは昔話となった。医薬品、コンピューター、半導体、半導体製造装置、通信機器、航空宇宙など、ものづくりが物を言うハイテク分野で存在感を示している多くが、米国企業である。成長性と収益性の高いハイテク産業と個人消費関連産業において、米国企業の強さは圧倒的だ。

ドル資産投資は多様化している

 米国市場の最大の特徴は、証券市場の規模が大きいうえ、多様な点である。かつては、ドル建て証券投資というと、米国株と財務省証券(国債)が中心だった。しかし最近では、さまざまな証券への投資が日本でも人気を集めている。

 過去10年(2003~2012年)の投資収益率(年平均)は、米国株の最も代表的な指数c500が7.1%、米国債券のシティグループ世界国債インデックス(アメリカ)が4.7%である。リーマン・ショックなどがあったことを考えれば、まずまずの投資成果である。

 そのうえ、株や国債よりも、投資収益率がはるかに高い金融商品がある。マスター・リミテッド・パートナーシップ(MLP)のアレリアンMLP指数は16.5%、不動産投資信託(REIT)のS&P米国REIT指数は11.6%、ハイイールド債のシティグループ米国ハイイールド市場インデックスは10.4%と、伝統的な株式や債券の収益率を大きく上回る。しかも、MLPとハイイールド債の利回りは、株や国債よりはるかに高い。

 日本でも、REITやETFが普及しつつあり、一般にも親しまれている。そして、米国のREITやハイイールド債は、数年前までの豪ドルやレアルに代わって、投信の売れ筋になっている。それらより過去の投資収益率がさらに高いMLPは、ようやく日本に上陸したところである。MLPの市場は、日本には事実上存在しないだけに、なじみがあまりない。同様に、優先株、優先証券も多少知られてきたが、米国と比較すると、一般的な投資手段にはなっていない。これらは、投資収益率と利回りが高いにもかかわらず、まだまだ、日本の個人投資家に十分浸透していない。