実力で仕事を勝ち取る
「クラウドソーシング」の世界

フリーランスでイラスト作成、デザイン業務を行う高塚由子さんは、クラウドソーシングを新たなクライアントを開拓する場として活用している Photo:DOL

 サラリーマンと違ってフリーランスには定年がない。一定量の仕事を受注し続けるスキルと営業力さえあれば、ファーストキャリアをずっと続けることも可能だ。いずれ定年を迎え、再就職問題に直面するサラリーマンからすれば、うらやましい限りだろう。

 そんなデキるフリーランスの1人が、イラストとWebデザインを手がける高塚由子さんだ。美術学校を卒業後、どこにも属さず仕事をバリバリこなし、その後、自分の会社を設立して社員を雇っていたというほど順風満帆だった。バブル経済崩壊後は仕事が減って会社をたたんだものの、再びフリーランスとして水彩画やイラストなどをメインに活躍している。

 高塚さんの作品サイト「アトリエ由卯」を覗いてみると、温泉浴場の壁画や雑誌の表紙に採用された水彩画や小説の挿画、映画タイトルデザインなど、そのクオリティの高さがうかがえる。

高塚さんの水彩画作品の1つ、介護老人保健施設「ケアテル猪苗代」の温泉浴場壁画(上の画像をクリックすると、高塚さんの作品サイトにジャンプして、壁画の全体が見られます)

 しかし今、時代はIT化まっしぐら。フリーランスを取り巻く環境が大きく変わってきたという。

「一番は仕事のとり方です。以前は、出版社などに作品を持ち込んで担当者に売り込むという営業の仕方もありましたが、今は自分でWebサイトを立ち上げ、世の中に広く、私はこんなことをやっています、と大きな声でPRしていくことが不可欠です。私自身もサイトを立ち上げ、水彩画やイラストなどの作品集を紹介しています。どこかの会社の目にとまるかもしれないですからね」

 つまり、クライアントがイラストなどをインターネットで探すようになったというわけだ。さらに最近、インターネット上で仕事を発注する企業と受注するフリーランスを結びつける「クラウドソーシング」サービスが登場し、多くの定年退職者や若手クリエイター、主婦などが利用し始めた。こうした新たなライバルとの仕事をめぐる争奪戦が幕を切り、プロといえども気を抜けない状況になっているのだ。(編注・クラウドソーシングの「クラウド(crowd)」とは「群衆」の意味)