「現場のリーダーシップ」を誤解していないか

 会社におけるリーダーシップについて少し語っておきたい。課長や部長のリーダーシップとはどのようなものか。それを勘違いしている管理職が多いと私は思っている。何の目的でどこにリーダーシップを発揮すべきなのか、その点でボタンを掛け違えている人が極めて多い。

 先にも述べたが、リーダーシップの定義は簡単で、「他人に影響力を行使して、望ましい行動を起こさせること」だから、これは誰にでもできることであるし、実際に誰しもが行っていることでもあるはずだ。問題は、多くの企業内リーダーが「誰に?」と聞かれると、「部下に」と答え、「どんな目的で?」と問われると、「会社から与えられた目標をクリアするために」と答えること。そして、「どういう形で影響力を行使するのか?」と聞かれて、「まず、公式的権限をベースにした評価をちらつかせたような力」…そうは言わないだろうが、そういう意味のことを言う。要は立場による圧力に頼るということだ。加えて新任の管理職の場合は、専門性を発揮したリーダーシップと答える。以上、終わりだ。あなたはどうだろうか?

 自分の人間的魅力とか、ましてやビジョンによるリーダーシップを発揮すると答える人は極めて少ない。それはなぜかと言うと、「ビジョンを立てるのは自分の上位者の仕事」だと思っているからだ。課長は部長の役目だと思っているが、部長は取締役の、取締役は社長の役目だと思っている。社長になると、もう上位者がいないから、仕方がないので経営コンサルタントを雇う。つまり、誰もビジョンを作らない。

 しかも、トップがビジョンを作って、それをピラミッド型組織で粛々と遂行していけば成果が得られるというプロダクトアウト型の組織が成り立つ時代ではもはやない。どの方向に行っていいか、誰にもわからない。だから、それぞれの現場の人間が、自分の考えで市場を相手にさまざまな戦略をトライ&エラーしながら、PDCAを回していって、その中で、うまくいったものを事業化し、全社展開していく。そんな、まさに創発的にイノベーションを起こさなければいけない時代なのだ。

 だからそれこそ現場の一人ひとりの社員、あるいはそれを束ねる現場のリーダーが次の事業を作るという気概を持って他人を動かし、将来のビジョンを立てて、それに従って行動していくしかないのだ。

 つまり、リーダーというのは、会社に言われたことを粛々とこなす存在ではない。それはオペレーター、あるいはアドミニストレーターだ。リーダーというのは、自分の与えられた立場は守りつつも、その先にある未来のために何を変えるべきなのか、何をビジョンとすべきかを考え、決めることなのだ。

 そういう行動をとることで、修羅場も体験できるし、人脈も形成される。将来に対する希望も持てるし、しかも目立つ。目立てば、チャンスがやってくる確率も高まる。