丸紅(東京都/朝田照男社長)とイオン(千葉県/岡田元也社長)という2つの大株主のもと、ダイエー(東京都)が復活の緒に就いた。率いるのは丸紅出身の西見徹社長とイオン出身の川戸義晴会長。新しい企業風土と企業文化の醸成に努める西見社長に、これまでのダイエーとこれからのダイエーについて尋ねた。聞き手/千田直哉(チェーンストアエイジ)

リーマンショックは大きな衝撃

西見徹(にしみとおる)
1948年生まれ。72年、東京大学法学部卒業。同年、丸紅入社。2001年、丸紅米国会社副社長。03年、丸紅執行役員。05年、丸紅常務執行役員。06年、ダイエー副社長執行役員。同年、ダイエー代表取締役社長就任。現在に至る。

──前職は丸紅の常務執行役員。海外経験が長く、また金融や物流、鉄鋼製品などの担当をされていました。2006年9月にダイエーに着任。10月から現職にあります。ダイエーについては、どんな印象を持っていましたか?

西見 私の出身は兵庫県ですので、子どものころは、家族でよくダイエーに行っていました。間口の狭い店舗に、お客さまが詰めかけ、活気にあふれる売場が印象的でした。

 その後、上京し、学校を出て、就職をして海外勤務が長かったこともあり、ダイエーの店舗に行くことはほとんどなかったのですが、着任を機にあらためて、行ってみました。すると当時の熱気が失せており、“強いダイエー”が薄らいでいるのかなと正直なところ思いました。

──そして、リストラ(事業の再構築)に着手された。

西見 そうですね。ダイエーはここ数年、過去の負の遺産を短期間に急激に処理するため荒療治的な施策が進められてきました。それに伴う痛みを癒しながら、改革を敢行してきました。07年には、イオンさんも株主になり、川戸義晴会長に来てもらった。ですから、ダイエーのプロパーの方、イオン、丸紅がスクラムを組む格好で、有利子負債を減らし、オーエムシーカード(現セディナ)やマルエツ株の売却や子会社の再編などを進めてきました。現在も、「売上高・粗利益高の維持と拡大」「ローコスト体質への転換」「不動産収支の改善」「グループ事業の再構築」という4つの課題に取り組んでいる途上です。