「親しい人同士の日常のやり取りをホットにする」というコンセプトのもと、コミュニケーション機能を基盤として、ゲーム、マンガ、音楽などさまざまなサービスを世界に向けて提供し続けるLINE。そこに貫かれているのは、ユーザー体験を第一に考える姿勢だ。「ユーザーが嫌がることはやらない」という単純明快な視点が、LINEというサービスの強みになっている。前編に引き続いてLINEの舛田淳執行役員に聞いた。(取材/ダイヤモンド・オンライン編集部 原 英次郎、指田昌夫 構成/平 行男)
(インタビュー前編「ユーザー数世界3億人を突破!『LINE』のコンセプトのすべてを語ろう」はこちら)
日常のコミュニケーションの
“連鎖”を呼ぶ設計を全てに施す
――世界の人々に知ってほしい、LINEのカルチャーとはどのようなものでしょうか。
LINEというサービス名称は、人と人をつなぐ「絆」から来ています。つまり、基本はどこまでいってもコミュニケーション。ゲームなどいろいろなサービスを加えてきましたが、コミュニケーションが根本にあることに変わりありません。そこを知っていただきたい。
よく「メールやSNSと何が違うんですか」と聞かれますが、インフォメーションをやりとりするという意味では変わりません。ただ、たくさんの人が「LINEでやりとりしたほうが早い」「楽しい」と言っていただけます。これは情報をやりとりしているだけでなく、LINEの中に、新しい情報の種が生まれているからです。
LINEを使うと、話すきっかけやネタも手に入る。たとえば変な表情のスタンプを送ることで、次の会話が誘発される。ゲームでも、近しい人と競ったりコミュニケーションをしたりできる。読んだマンガもシェアできる。そういった、コミュニケーションに火を点ける設計を全てにおいて施しています。
――これから、LINEに新しいサービスを加えるとしたら、どういうものがコミュニケーションの範疇に入ってくるのでしょうか。
いろいろな可能性があると思いますが…。来年早々にリリースしたいと考えている「LINE MUSIC」もその1つです。音楽は会話になりやすいですよね。これから始める「LINE MALL」(通販事業)もそう。こうして話をしているときに、「そういえば、アレさぁ」と話題が浮かぶことがありますが、この「アレ」を作っていかなければならないんです。話のきっかけになることが我々の競争力だと思うし、そこからズレると、ただのスマートフォンのサービスになってしまう。
たくさんのウェブサービスやSNSがありますが、LINEの一番の違いは「日常」です。LINE内の人間関係も日常ですし、コアになっているコミュニケーションも日常。「元気?」「うん、元気」という、世界中のなかで誰もが1日に1回や2回行っているプロセスが中心となっているので、我々のサービスは高いアクティブ率を誇っていますし、ユーザーに伝わりやすい。これはブレてはいけないところです。