無料の通話・コミュニケーションアプリとして若者を中心に圧倒的なシェアを獲得している「LINE」。2011年6月のサービス開始以来、急速にユーザー数を伸ばし、いまや世界3億人が利用する“モンスター”サービスとなった。ほかのソーシャルメディアやコミュニケーションツールと、LINEのコンセプトやビジネスモデルは何が違うのか。そしてLINEはこれからどこへ向かうのか。LINEの全体戦略とマーケティングを担当する舛田淳執行役員に聞いた。(取材/ダイヤモンド・オンライン編集部 原 英次郎、指田昌夫 構成/平 行男)
世界の知らない人とつながるより
親しい人とアツくなりたい
――そもそもLINEはどういうものなのか、あらためてコンセプトからご説明ください。
これまでのインターネットサービスは、「場所を超えて知らない人とコミュニケーションができる」という新たな可能性に注目が集まり、技術的にも進化してきました。それに対してLINEは、「知っている人同士のコミュニケーションをよりホットにしよう」と。これが大コンセプト、哲学といってもいいでしょう。フェイスブックは世界70億人をつなげようとしていますが、我々はそんなにつなげなくてもいい。日常生活にあるスモールグループ、つまり家族や恋人、友だちのグループをたくさんつくって、結果的に世界で利用されるサービスになればいいと考えています。
したがってLINEの特性は「コミュニケーション」にあり、基本的な機能は無料で提供されなければなりません。ですので今後とも有料化する考えはありません。ただ、フリーのサービスであってもビジネスを展開していくために、2012年に「プラットフォーム構想」を発表しました。人と人とをつなぐコミュニケーションツールから、人とコンテンツ、人とサービス、人と企業をつなぐプラットフォームへ転換しようと考えたわけです。
LINEの売り上げの6割はゲーム
――現在はどのようにして収益を得ているのか、ビジネスモデルについて教えてください。
大きく分けて3つのビジネスモデルがあります。1つめはスタンプです。トーク(チャット)をする際に使うイラストで、海外ではステッカーと呼んでいます。無料でも多くのスタンプを提供していますが、トークをより楽しみたい、感情のニュアンスを表現したいというユーザーが、オプションとしてディズニーやサンリオなどの有料スタンプを購入します。スタンプの売り上げはグローバルで月間10億円を超え、当社の売り上げの約2割を占めます。