

吉田 彼らを見ていると、手に職で生きているコンテンツクリエイターの気概を感じますし、自分に合うプロジェクトがあったらそこに移るという欧米的な考えでやっているようです。ですので、彼らの間でヒットタイトルが出ると、ものすごく全体が活性化する。近くの開発会社が盛り上がっていると、「よし、こっちも頑張ろう」となるようです。
ただ、彼らがそうならざるを得ないのは、コンテンツビジネス特有の事情もありますね。環境変化のスピードが早すぎるんです。たとえば、2008~2009年ごろはFacebookのソーシャルゲームが世界を制覇して、いったいどうなるんだと皆さん思っていたでしょ? でも、今はすごく縮小してきていますよね。そして今はそのスピードがもっと速いです。
――定年の概念がある人にはまったく向かない業界ですね…。
吉田 コンテンツビジネスなんて定年より製品の寿命の方がはるかに短いですからね、確かに安定志向の人は向かない業界でしょうね。
――先ほど出てきた2つの有力インディーズ企業、ロビオ エンターテインメントとスーパーセルはともにフィンランドの企業ですが、スーパーセルの方は「パズドラ」でおなじみのガンホーエンターテインメントを傘下に持つソフトバンクが買収して話題を集めました。日本でも、2社目のガンホーを探そうと多くの関係者が活躍中で、水面下でのM&Aは盛んになっていますね。
吉田 確かに大手による有力インディーズの買収は盛んで、これは日本だけではなく欧米も同じ流れです。
――日本でM&Aが発生した場合、特にコンテンツ業界は結構簡単に人材が流出します。買った方は人ありきで会社を買っていると思うのですが、海外ではそんなことはないですか?
吉田 インディーズのような会社を買収する場合、人材の行く先まで含めて買収の設計をしなければいけません。大企業に頼らず独立してやっている人たちですから、もともと起業家精神が高い。それに起業したときすでに、ある程度の段階で会社を売ることが、視野に入っている。