ソニーの経営再建に、またもや暗雲が漂っている。米格付け会社のムーディーズは今月1日、ソニーの長期信用格付けについて、数カ月以内の引き下げを検討していると発表した。課題の家電事業がいまだ赤字から抜け出せないことを不安視したもので、実施されると、ソニーは「ジャンク級(投機的格付け)」に転げ落ちることになる。

 引き金になったのは、前日に発表された2013年度第2四半期決算の内容だった。

 通期業績について、売上高で7.7兆円(前期比2000億円減)、純利益で300億円(同200億円減)へと下方修正。全社売上高の7割近くを占める家電5事業のうち、米アップルなどに供給するイメージセンサーを含むデバイス事業を除けば、残り4事業すべてが営業赤字を計上するという“惨状”となった(表参照)。

 では、ソニーがジャンク級に転落した先に何が待っているのか。

 9月末時点で、ソニーの財務基盤の安定性を示す自己資本比率は30%前後(金融事業を除く。以下同)と健全な範囲にある。

 手元にある約5280億円の現預金に加えて、金融機関から借り入れができるコミットメント枠を約8200億円も用意しており、総額は有利子負債の1.3兆円を超える。つまり「当面の経営上の資金手当てはついている」(ソニー広報室)という言葉にウソはない。