政財界の癒着、派手な公共事業、増税。
その結果は……
英雄カエサルも按察官として派手な公共事業を行い、市民からの人気を不動のものとしました。票の買収も公然と行われ、カエサルは大富豪クラッススからの借金でこれをまかないました。まさに「政財界の癒着」ですね。
ローマ帝国は、広大な領土を維持するための莫大な軍事費と公共事業費で国庫を浪費し、五賢帝時代(2世紀)には国家財政の半分が軍事支出に消えていました。財政再建のためさまざまな名目で増税が行われた結果、商工業が衰退し、3世紀には軍隊の維持も困難になります。やがてはゲルマン人の侵入を許してしまうことになるのです。
中国の歴代王朝もローマと同じ運命をたどります。漢の武帝は、対外遠征のやり過ぎで国家財政を火の車にしてしまいます。財務官として財政再建を命じられたのは、商人出身の桑弘羊でした。抜群の暗算能力を買われて抜擢されたのです。
彼は全国で物価調査を行い、物価の安い地域では物資を徴発し、物価の高い地域に運んで高値で転売する均輸法を実施します。また専売制を実施し、塩・酒・鉄の3品目の販売を国営化し、物品税を課しました。