本日のテーマは「ドル」です。現在、世界の取引で使われている通貨の80%をドルが占めています。「世界最強の通貨」といっても過言ではありませんね。しかし、ドルがこの地位を手にいれたのは、今からおよそ100年前。そのとき、世界では何が起こっていたのでしょうか。
なぜ、世界の多くの国で
「ドル」が使えるのか?
海外旅行をしたとき、多くの国でドルが使えます。それぞれの国で独自の通貨が流通していますが、なぜドルは特別なのでしょうか。
それはドルが、世界共通のお金――国際通貨(基軸通貨)としての地位を手に入れたからです。その経緯を見ていきましょう。
19世紀では、世界の工場といわれたイギリスの「ポンド」が世界中に流通していました。そのポンドの地位がドルに入れ替わったのは、第一次世界大戦(1914―1918年)のあとからです。
全ヨーロッパを巻き込んだ戦争が4年間も続くとは、最初は誰も予想しませんでした。欧州各国は、国際通貨である金の流出を阻止するため、金本位制から離脱します。そして、不換紙幣(金と交換できない紙幣)を乱発して軍事費に充てたのです。