2014年4月からの消費税増税まで、あと3ヵ月余りとなった。小売業をはじめとする流通業者は、増税に向けてどのような準備をすればいいのか。消費者の動向を予測し、準備を整えれば、増税による変動をチャンスに変えることも可能だ。販促コンサルタントの竹内謙礼氏が、3回にわたり消費増税に負けないマーケティング、販促の心得をお届けする。

「駆け込み消費で売場がパニックになるのではないか」
 「消費税が切り替わる時に、トラブルが起きるのではないか」
 「増税後には何も売れなくなるのではないか」

たけうち・けんれい
1970年生まれ。経営コンサルタント。有限会社いろは代表取締役。現在は雑誌や新聞に連載を持つ傍ら、全国の商工会議所や企業等でセミナー活動を行う。日経MJにおいて毎週月曜日「竹内謙礼の商ビズNOW」を連載中。著書に『消費税を逆手に取る販促テクニック』(双葉社)『安売りしないでお客をがっちりつかむ技術』(日本経済新聞社)、「会計天国」(PHP研究所)ほか、多数。

 そういう思いで戦々恐々としている経営者も多いかと思います。しかし、振り返れば、日本は過去に2回、消費税増税を乗り切っています。

 1回目は1987年。2回目は1997年。この2つの消費税の導入時に、市場に何が起きて、消費者がどのような動きをしたのか、それを客観的に振り返っていけば、具体的な対応策が浮かび上がってくるかと思います。

 本連載では、3回にわたって消費税増税に克つために、小売業者がどのような準備をすればいいのかについて述べたいと思います。1回目は、過去の消費税増税時に発生した出来事を振り返りながら、消費税増税の際の影響と課題について考察します。

1989年の消費税導入時と
97年の増税時で何が起こったか

 まず、1989年の最初の消費税増税の場合、バブル期の後押しもあり、非常に景気のいい状態での消費税アップでした。

 酒屋ではビールのダース買いや、焼酎のジャンボサイズが飛ぶように売れました。そのおかげで宅配も大忙し。家具の産地では、出荷用のトラックがなくなってしまうほどの騒ぎになりました。そして、3月になると、駆け込み消費の影響で、スーパーで過去最高の売上を叩き出す店舗も表れました。