③2000年代に始まった、一般乗用車からの「ダウンサイジング」

ダイハツ新型「タント」。軽自動車の利便性は多目的化。商用からレジャーまで様々な利用シーンをメーカー側が提案し、関連するオプションパーツの販売促進を行う Photo by Kenji Momota

 そのきっかけは、2003年登場のダイハツ「タント」だ。「タント」とは「とても広い」というイタリア語。つまり「ワゴンR」と「ムーヴ」よりも室内が広いのだ。ソフトタッチ、かつ先進的なイメージの外観デザイン、車内での遮音性の高さ、ハンドリングの良さ等、「軽自動車は普通のクルマだ」というイメージが広まった。そのため、コンパクトカーやミドルサイズのミニバン等からの「ダウンサイジング」が始まった。

 2007年には、第二世代「タント」とスズキが新規投入した「パレット」が、リアスライドドアを採用。タントは車体片側のBピラーをスライドドア内に埋め込むことで、乗降性を一気に高め、人気を不動のものとした。

 乗用車からの「ダウンサイジング」の流れが加速するなか、「ワゴンR」、「ムーヴ」、「タント」の三強時代が続いた。それら3車を取り巻くように、スズキ、ダイハツ、ホンダが多モデル化を進めていった。

「マーケットイン」に「プロダクトアウト」をミックスして成功した「N Box」(奥)と、兄弟車「N One」。本田技研工業・東京青山本社1F正面玄関前にて Photo by Kenji Momota

 そして2011年、ホンダが満を持して「N Box」を発表。同年の東京モーターショーでホンダは、中期的な経営計画のなかで、完全自社生産の多彩な「Nシリーズ」を投入することを強調した。ホンダの軽自動車は八千代工業(三重県四日市市)で委託生産されていたが、それを改め、本田技研工業・鈴鹿製作所を軽自動車製造の中核に据えた。四輪車の開発技術と生産技術を惜しみなく注いだ「N Box」は大ヒットし、3強時代は終焉を迎えた。

「N Box」は、「マーケットイン」を基調としながらも、ホンダがこれまで行ってきた「プロダクトアウト」を上手く連動させたことが、成功の理由である。