日米TPP事前交渉で合意するも
自動車項目で不釣り合いな妥協案

日本政府がTPP交渉で、日米の事前協議合意を発表した2013年4月12日当日の霞が関官庁街。TPP交渉を踏まえて今後、具体的な産業育成政策を進めるのは、写真の経済産業省になる Photo by Kenji Momota

「今般、わが国のTPP交渉参加において日米が合意を致しました。わが国の国益を実現するための本当の勝負はこれからであり、最強の態勢のもと1日も早くTPP交渉に参加をし、かつTPP交渉を主導していきたい」

 2013年4月12日(金)の夕方、安倍晋三内閣総理大臣はそう発言した。

 同日公開された日米でのTPP交渉に関する事前協議の合意文書のなかに、今年2月の日米首脳会議以来、注目が集まっていた自動車に関する項目がある。

 その概要は、日本側はいわゆる「非関税障壁」で、自動車輸入に対する手続き等での規制緩和(詳しくは後述)をする。対するアメリカ側は、現在、乗用車に2.5%、トラックに25%の輸入関税を「TPP交渉における最大限度期間で段階的に撤廃」するとした。ここでいう最大限度期間は、日本のマスコミや自動車業界関係者の間では「米韓FTAより長い期間」、つまり「概ね10年間」と解釈されている。

 こうした合意内容について日本のメディアは、「丸呑み」「先送り」または「棚上げ」といった表現で、日米間での不釣り合いを指摘している。

 そうしたなか本稿では、具体的なデータを見ながら、「なぜ今回、このような日米で不釣り合いな合意がなされたのか?」、そして「これからどうなるのか?」について考えてみたい。