4年後の今回はどうなのか。キムは今回も勝利への近道である「模範的演技」を見せるだろう。前回のレベルの維持を目指すといった方向性だ。一方、浅田はジャンプの際、スピードが落ちるという課題が練習を重ねることによって改善されているという。両者の差は縮まったと見ていい。

 現状はキム優位だが、キムにも不安要素はある。9月に右足甲を負傷した影響で今季は12月初旬にクロアチアで行われたゴールデンスピンという大会にしか出場していない。ここでも200点を超える高得点で優勝し実力を見せつけたが、真剣勝負の場数が少ないのはアスリートと不安なはず。過去の大会を見る限り、キムは精神面も相当強く、そんなことは問題にしないかもしれないが。

 ともあれ五輪はアスリートが最高の技に挑戦する場。採点基準に合わせた合理性追求の演技が勝利するのではなく、浅田が女子としては最高難度のトリプルアクセルを完璧に決めて、有終の美を飾ってほしいものだ。

注目対決の陰で目立たないが
鈴木明子もメダルの可能性十分

 女子シングルでは鈴木明子(28)にもメダルの可能性がある。代表選考会の全日本選手権では完璧な演技を見せ、総合215.18という高得点をマーク。浅田、村上佳菜子(19)らを抑えて優勝し、2度目の五輪出場を勝ち取った。

 前回のバンクーバー五輪では8位に終わったが、この4年間で演技の安定感が飛躍的に向上。一昨年の世界選手権では3位、グランプリ(GP)シリーズのファイナルにも昨年まで4年連続出場し3位・4位、2位、3位と世界のトップで戦える実力を示すようになった。現在世界ランク4位。今季も好調で初戦のフィランディア杯が2位、GP・スケートカナダ2位、GP・NHK杯3位と表彰台を外していない。この好調さが全日本優勝につながった。

 大会が違うため単純には比較できないが、全日本で鈴木がマークした得点は浅田が今季のNHK杯優勝時に出した207.59、キム・ヨナのゴールデンスピン優勝時の204.49を大きく上まわる。注目が浅田―キム・ヨナ対決に集まるため、プレッシャーがあまりかからないのも有利で、リラックスし全日本のような演技ができれば浅田やキムを上まわることだって考えられる。