巷には2020年オリンピックの東京招致成功の余韻がまだ残っているが、その2年後の2022年のFIFAワールドカップも、ひょっとすると日本で開催される可能性が出てきた。
FIFAワールドカップの開催地はすでに3大会先まで決まっている。2014年はブラジル、2018年はロシア、そして2022年は中東・カタールだ。しかし、このカタール開催に暗雲が垂れこめ始めたのである。
冬期開催をほのめかすFIFA会長
UEFAは「夏期開催は不可能」
W杯の開催期間は通常6~7月。この時期のカタールの気温は40度を超える。開催地がカタールに決まった後もFIFA内部では「この環境でサッカーの試合をするのは無理」という声が噴出していたようだ。カタール側もその対策として、スタジアムに強力な冷房装置を完備し、気温を28度に保つとした。
だが、それで試合はできたとしても、世界中から集まる観客が辛い思いをする。なにしろこの時期、当のカタール国民は高温から身を守るため、極力外出を避けるという。そんなところに外国から暑さに不慣れな人たちがたくさん来て、観戦のためにホテルとスタジアムを行き来する。観客に酷暑による健康被害が出かねないというわけだ。
そんな声の高まりに、FIFAのゼップ・ブラッター会長も特例として冬季開催をほのめかすようになる。そしてこの9月10日、「2022年の開催地をカタールにしたのは間違いだったかもしれない」と発言した。それを受けたかのように20日、FIFAに対して強い発言力を持つ欧州サッカー連盟(UEFA)の理事会が「カタールの夏季開催は不可能」という見解を発表したのだ。
それでこれまで北半球では例のなかった冬季開催(過去の開催時期はいずれも5~7月)が現実味を帯びてきたわけだが、これにも大きな問題がある。W杯が6~7月に開催されるのは世界のサッカーをリードする欧州各国リーグがオフの時期に当たるからだ。クラブは所属選手のコンディショニングの心配をしなくて済むし、リーグ戦を中断する必要もない。