最大3つまで可能な複数回答での集計結果だが、迷惑行為として最も多くの人が挙げたのが「騒々しい会話・はしゃぎまわりなど」(35.3%)。2位以下は、「座席の座り方」(30.7%)、「乗降時のマナー」(26.7%)、「携帯電話・スマートフォンの着信音や通話」(25.8%)など。子どもに関するものとしては7位の「混雑した車内へのベビーカーを伴った乗車」(17.9%)のみ。恐らく、選択項目の中に「子どもの泣き声」というものは含まれていないだろう。

 言うまでもないことだが、「荷物の持ち方・置き方」「ヘッドホンからの音漏れ」といった他の迷惑行為と違い、子どもの泣き声は本人の配慮の欠如から来る行為ではない。だからこそ、非難の矛先は子どもを乗せた大人に向けられることになる。ここで、「配慮してもしきれないこと」と主張する層と、「迷惑をかけない年齢になるまで利用を控えろ」と主張する層の意見はすれ違う。ただ、後者の中にときどき見られる「泣いている子どもを放置している配慮のない親が許せない」という意見には、そういった親ばかりではないし、配慮のある子ども連れほど公共交通機関を利用する際に肩身の狭い思いをしていることを知ってほしいとは思う。

 電車内は赤の他人と至近距離で接しなくてはならないストレス空間だ。その環境では些細なことで感情のスイッチが入り、自分より「配慮・気配りが欠けている」と思われる存在に対して怒りが芽生えたりもする。だがその一方で、ほんの少しの配慮・気配りが目立つ場所であることも忘れないようにしたい。以下は、アンケートに寄せられた「電車や駅を利用している際、『うれしかった』『心が温まった』行為」。

「赤ちゃんを抱いた母親が乗車してきた際に2人の若い方が即座に席を立って声をかけていた。若い2人の咄嗟の親切な行動を見てとても嬉しくなった」(50代女性)

「帰宅中の電車に妊婦さんが乗ってきたため、すぐに席を譲ったら『有難うございます』と言ってくれた。『有難う』その言葉を言ってくれるだけで嬉しい気持ちになる」(20代女性)

「目の不自由な方がホームから電車に乗る際、ドアの場所が分からず乗ることができずにいた。その様子を見ていた若い方が手を引いて一緒に電車に乗って行った。その紳士的な行為に感動し、温かい気持ちになった」(30代男性)

「初めて降りた駅で、出口がわからずに迷っていたところ、近くにいた方が懇切丁寧に教えてくれた。ちょうどラッシュ時間帯で急いでいるであろうにもかかわらず、丁寧に行き方を教えてくれたのでとても気持ちがよかった」(10代男性)

「ホーム上で目的地へ向かう電車がどれか分からない様子の外国人の方に対して、女性がスマートフォンで調べてあげているようだった。女性が乗るはずであろう電車が来てしまい、外国人の方が乗るよう促していたにもかかわらず、女性が『時間があるから大丈夫です』と笑顔で返答していた心優しい応対を見て心が温まった」(20代男性)

 きっと多くの人は、電車内でストレスを感じたことがあるだろう。ただ同時に、電車内で心温まる行為を目にしたことがある人も多いはずだし、車内でお年寄りや妊婦に電車を譲った経験は多くの人にあるだろう。その一方で、電車内で誰かの配慮のなさに腹を立てている自分も、どこかで誰かに迷惑をかけているかもしれない。電車内は誰にとってもストレス空間。その場に居合わせた者として、「お互い様」の気持ちは持っていたいものと感じる。

(プレスラボ 小川たまか)