小さな子どもがいる家庭で旅行を計画。その際に頭を悩ませるのが交通手段だ。幼い子どもは長時間の移動が苦手。機嫌が悪くなると泣き叫んだりしてしまうことも。逆に、機嫌がよければ大きな声で歌などを歌い出したりすることもあり、とにかく周囲に気を使ってしまう。
そんな悩みを解消できる手段の1つが、JR東海が発売している「ファミリー車両」だ。これは、東海道新幹線のぞみ号に、子ども連れ専用車両を設定したもの。この車両に乗れば、他の乗客も子ども連ればかりなので、気兼ねすることがないのだ。
このファミリー車両、2010年から始まったもので、夏休みと冬休みの期間に設定。今夏は7月20日から9月1日まで、合計88本ののぞみに設定される。購入は大人1名以上+小学生以下の子ども1名以上を含むグループ限定。人数分+1席サービス、子どもへの「新幹線プラレールシール」プレゼント、子ども向け弁当の割引券プレゼントなど、特典も盛りだくさんとなっている。
すでに4年目を迎え、昨年の夏は3000人以上、冬の期間でも1000人以上が利用するなど、夏冬の家族旅行の定番のひとつとなりつつある。
家族連れにとって、周囲を気にする必要がないというのは気分的にとてもラク。利用者からは「これまでは子どもが泣くとデッキに連れて出たりして肩身の狭い思いをしていたが、周りのお客様も子連れなので、気兼ねなく利用できてよかった」といった声も多いという。約半数がリピーターということからも、人気のほどが窺える。
飛行機での移動は、移動時間が大幅に短縮できるというメリットがある。しかし、移動中は基本的にじっとシートに座っていなければならず、元気な子どもにとっては苦痛。一方新幹線は、自由に歩き回れる上、無線LANを使ったインターネットに接続をしても問題がないため、移動中に仕事のメールチェックも可能。デッキで電話をかけてもOKなのだから、移動時間を有効に活用できる。子どもだけではなく、大人にとっても意外とメリットが多い交通手段なのだ。
JR東海の広報部東京広報室によれば、「今夏は多くのご利用が見込まれる8月9日~14日(下り)、8月14日~19日(上り)の期間で、基本設定の6号車(100席)に加えて7号車(75席)も追加設定します。また、申し込み締め切りをこれまでの7日前から4日前にして、さらに利用しやすいように配慮しております」とのこと。
移動時間も旅行の一部と考えると、いかに快適に移動時間を過ごせるかという点はとても重要だ。ファミリー車両ならば、通常の料金でプラス1席が使えるため広々と過ごせる(ただしセット料金に小学生以下の子どもの運賃も1人と含まれている)ほか、周囲への気兼ねもなく、おみやげなどの特典も付く。家族連れにとってはまさに「移動する天国」のようなもの。せっかくの旅行なのだから、心配事はひとつでも少ないほうがいい。時間に余裕がある場合、この夏の家族旅行の移動手段として検討してみてはいかがだろうか?
(三浦一紀/5時から作家塾(R))