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| ベンチャーリパブリック社長 柴田 啓 |
「価格を比較するだと。冗談じゃない。真っ平ゴメンだ」
けんもほろろの対応とは、まさにこのようなことを言うのだろうと、柴田啓は思った。
2001年にある大手家電量販店を訪れたときのことだ。柴田が起業したばかりの価格比較サイトの事業について、担当者に説明した矢先、いきなり怒鳴りつけられたのだ。
ところが、その2年後には、状況は一変する。怒鳴られたその担当者から「価格比較サイトで売り上げを増やすにはどうしたらよいだろう」と相談されるまでになったのだ。「隔世の感がある」と柴田は言う。
現在、ベンチャーリパブリックには、14のサイトがあり、パソコンなどの価格比較サイト「コネコネット」では、約1800社の約160万点もの品物が並ぶ。同社のサイト全体では、月に約750万人以上ものユーザーが訪問する。今年8月7日に、念願だった大証ヘラクレスに上場したばかりである。
起業のきっかけは「三菱商事に在籍しながら、1996年から2年間を過ごした米国ハーバードビジネススクールでの留学だった」と振り返る。
当時、米国はインターネットが急速に普及、ネットビジネスが次々と誕生し始めた頃だった。授業では、アマゾンの創始者であるジェフ・ベゾスと直接議論する機会にも恵まれた。
なかでも、印象深かったのが、価格比較サイトだった。「これまで複数のお店を回らなければ、わからなかったことがひと目でわかる。おまけに口コミの書き込みで、商品の評判までわかってしまう。従来の供給者側から、消費者側に力がシフトするダイナミズムを感じた」。
