「この子、転職したいのかな?」
ある人事課長の体験談

 ある企業の人事課長の方が話してくれました。昼休み、あるメンバーが仕事をしているとき以上の熱心さで何をしているのかと思って見てみると、通信教育の教材を使って資格取得の勉強をしていたというのです。

 その資格は、業務とは関係のないものです。「転職を見据えているのかな?」という疑念を持ってしまったとのことでしたが、確かに、上司の立場からすれば、あまり気持ちの良いものではないでしょう。

 昼休みの時間を使って自己啓発に励んでいる姿勢は立派ですし、どう昼休みをすごすかは個人の自由です。でも少し違和感があります。

 違和感の正体は、本来最も成長することができる仕事の場において、仕事以外のことに関心が向かってしまっていることに対する「機会ロス」の感覚とでも言えば良いでしょうか。仕事を通してこそ実力が養われるわけですから、自らの価値を高めようとするならば、本来は全精力をそこに注ぎ込むべきなのです。