『手取り1655円が1850万円になった営業マンが明かす月収1万倍仕事術』
大坪勇二[著]定価1500円(税込)

 ある月末の給料日、私は銀行に行きました。

 ATMで口座残高を見た私は目を疑いました。

 「あれ、おかしいな…」

 給料日にはある程度まとまった金額が口座に振り込まれるはずです。

 「ひょっとして給料が入ってないんじゃないか」

 私はすぐ営業所長に電話しました。もしかすると会社の手違いということもあります。しかし、電話に出た所長は「給料は入金されているはず」と教えてくれました。

 悪い予感がした私は慌てて通帳記入しました。

 黒く印字された取引記録を見て、すべてを理解しました。所長の言うとおり給料は入金されています。30代の男性にしてはやや少ないかなという金額ではありますが、きちんと入っています。

 ところが、入金と同時に様々な本人負担分の経費が引き落とされ、差額がほとんど残っていないのです。

 入金分から経費を差し引いた残りは、1760円でした。

 新日鉄の事務職からソニー生命の営業に転職して3年目、完全歩合制で生命保険を売っていた私の成績は悲しいくらいにひどいものでした……。

 転職当初にラッキーな法人契約が入ったものの、実力のなさでその後の成績は下降する一方。ついに単月で売れた保険はたったの1件で、それも月の掛け金が3000円の医療保険でした

 そんな状態が2ヵ月続き、ついに手取りは1760円になってしまったのです。

 手取り額が3000円を切ってしまったことはこの後にも何度かありました。

 最も厳しいときは月の入金額がわずか1655円にまで落ち込んでしまったことすらあります。

 でも精神的なショックは最初の「手取り1760円事件」のときとは比べものになりません。

 この事件で私は自分の営業マンとしての無能さを認めざるを得ませんでした。

 しかしここを境に私は行動を開始しました。