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すでに「非ERP」売上げは7割に――SAPジャパン「クラウドファースト」への取り組みとその成果

ダイヤモンド・オンライン編集部
【第33回】 2014年2月10日
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 また、パソナとは人事管理業務のBPOサービスで協業を展開。IIJなどクラウドのサービスプロバイダーや、住友重機械工業など大手ITユーザーの大規模なプライベートクラウド向けにHANAの基盤も提供している。こうした勢いを加速するために、4月には、SAPジャパン独自にクラウド用データセンターを東京と大阪の2ヵ所に開設する計画だ。

 「SAPクラウドの急成長を支えているのが、クラウドによるITのシンプル化、従来のSAPではカバーできなかった中小企業などへのビジネス機会の拡大、クラウドで可能になる全く新しいビジネスプロセスの拡大の3つの要素。こうした傾向が今後もクラウド事業の成長を引っ張っていくだろう」(安斎社長)。

フロントエンドとバックエンドに2つの“花”

 同社のクラウドが急成長するうえで欠かせない役割をしているのが、インメモリ・データベース技術の「HANA」だ。HANA自体のビジネスも2013年度は関連ソフトウェアを含め前年度比130%増と、日本市場はグローバル市場(69%)を凌駕する成長をみせた。HANAは2013年1月にERPなどOLTP(オンライン取引処理)用のデータベースとして使えるようになり、それ以降、同社ERPの新規案件のうち、半数以上がデータベースにHANAを採用するようになっているという。

 インメモリ・データベースは当初分析系の高度化が用途として考えられてきたが、HANAはOLTPでの利用が3割と、基幹系・情報系を単一のデータベースで構築する動きも顕著だという。こうした動きに刺激されてか、汎用データベースの大手ベンダーも昨年インメモリ技術の本格導入を発表したが、SAP HANAは1年近く先行するかたちとなる。国内のデータベース市場の平均成長率は7%程度だが、同社の同事業の成長率は20%と3倍だ。

 HANAは単にOLTP向けデータベース製品としての意味合い以上に、SAPとしては今後プラットフォームとしての価値を追求していく戦略だ。クラウド/オンプレミスにかかわらず、ITの基盤として、HANA上で稼働するサードパーティのアプリケーションや分析サービスなどエコシステムを充実させていく。

 SAPのビジョンは、「ITの簡素化に向けてあらゆることに取り組むこと」。これまでは、コンシューマーITとエンタープライズITは別物だったが、SAPはその区別をせず、人、利用シーン、実現環境という3つの軸でソリューションを再構築しているという。その一つとして、バックエンドの統一基盤になるのがHANA。もう一方の、ユーザーと接するフロントエンドについては、コンシューマーITと同レベルのモバイルの操作性を実現する製品として『Fiori』(イタリア語で花の意味)を提供している。両者の間にあるアプリケーションやサービスはサードパーティやパートナーにオープンだ。

 こうしたビジョンの実現に向けて、2014年、SAPジャパンとしては、上記の新しいエンドツーエンドのソリューションモデルを業種別に推進していく体制を構築していく。その一環として安斎社長が実現を目指すのが「ワンチームのサービス体制」だ。「コンサルティングから運用までを一貫して提供する400人規模の新組織を4月に立ち上げる。サービス体制の再構築で、シームレスなサポートができるようにしたい。お客様の成長とイノベーションに貢献することが当社のビジネスの原点であるということに、組織の一体化で社員の意識改革を進めていく」(安斎社長)。

(ダイヤモンド・オンライン編集部 魚谷武志)

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