シャンプーの「セグレタ」や歯磨きの「ピュオーラ」など、花王が2007年に新発売した製品の売り上げが順調だ。花王といえば、技術に裏づけられた商品開発力やマーケティング力に定評があるが、これらをヒットさせる原動力となったのは、じつは店頭販売力だった。花王の国内販売力の強さの秘密はどこにあるのか。
ここに花王の底力を示す数字がある。下のグラフを見ていただきたい。2007年上期に前年同期に比べてシェアを1%以上上げた商品群をピックアップしたものだ。シャンプーや歯磨き、衣料用洗剤など12項目を数える。
「当初の見通しよりも国内が順調だった」と尾﨑元規(おざき・もとき)社長が笑みを浮かべるとおり、2007年中間期の化粧品や日用品などの国内販売額は前年同期比6.2%も増加した。
売り上げを牽引したのは、シャンプーの「セグレタ」や歯磨きの「ピュオーラ」、「ビオレメイク落とし」などの高付加価値製品だ。ただし、これらのヒットの理由は商品開発力やマーケティングのうまさだけではない。いまや業界トップと評価される「販売力、とりわけ店頭提案力」(ドラッグストアチェーンのバイヤー)にこそ、その秘訣がある。
花王はもともと、製品の販売や物流を日用品卸問屋任せではなく、自前の販社である花王販売が行なってきた。2007年4月からは花王化粧品販売と合併し、花王カスタマーマーケティング(CMK)に社名を変えて攻勢を強めている。
CMKの強みは提案力だ。その最前線に当たるのがトレードマーケッターたちである。複数のチェーンをウオッチし、チェーンの営業担当にアドバイスし、サポートする部隊だ。