東京株式市場は、ようやく下げ止まったようだ。日経平均株価は年初から2月4日まで2282円(14%)の下落を記録。かろうじて終値で1万4000円台を守ると、その後は反発に転じている。
株価下落の一因だった米国の景気不安については、寒波による一時的な下ブレとの評価に傾きつつある。1月の米雇用統計はまちまちの内容。失業率が6.6%へと予想外に改善する一方、非農業雇用者数は11.3万人増と予想(18万人増)を下回った。
それでも日米の株価は上昇し、為替レートはドル高・円安に振れている。前回12月分の雇用統計も含め、下ブレしたのは非農業雇用者数、新車販売台数、住宅着工件数など寒波の影響を受けやすい景気指標に限られるからだろう。失業率、GDP、住宅価格などの指標からは、米国景気の回復が続いていることが示されている。
もう一つの株安要因だった新興国通貨も落ち着き始めた。今回の新興国不安のきっかけは米国のQE(量的緩和)縮小にあるが、あくまで緩和を縮小するだけで引き締めるわけではない。米国からの資金引き揚げによる通貨危機のコンテージョン(伝播)など、警戒することすら行き過ぎだろう。
そもそも新興国などと十把ひとからげに考えることが間違いではなかろうか。QE縮小は米国景気回復の裏返しでもある。各国から見ればドル高・自国通貨安になりやすい。米国景気の回復と自国通貨安から恩恵を受ける「輸出国」にとっては好材料。一方、自国通貨安による輸入品の価格上昇から打撃を受ける「輸入国」にとっては悪材料である。