モノの流通には大きく分けて2種類ある。新品のそれと中古品のそれ、である。経済情報の多くは新品にフォーカスして書かれているが、果たして、中古品の流通にもその世界ならではのコツはあるのだろうか?
というわけで、都内某所を歩いた。目についたのは段ボールに入ったままの安納芋。そのなかでもひときわ大きな芋が「看板息子」と称して飾られている。安い帽子やバックが山と積まれていたかと思えば、ショーウインドーにはロレックスなどの高級腕時計がズラリと並ぶ。なぜか、「昔ながらの酸っぱい梅干し」まで売っている。
(なんなんだ、このカオスな店は!?)
吸い寄せられるように入ってみると、店長らしき人物にジロリと睨まれた。年は50代後半、男性である。
不条理感満載の品揃え
謎の店主の前歴はバブル紳士!?
「こんにちは」
店主に挨拶をして、店内をぐるりと見渡す。ダンヒルやデュポンのライター、まではわかる。しかし、水を注ぐと光るグラスにはクビを傾げたくなったし、その横に粒生こしょうがあるのは謎だった。奥のガラス棚には日本人形。と思えば、ロココ調の鏡も無造作に置いてある。どんな客層をターゲットにしているのか、さっぱり見当がつかない。今どき、これほどまでにマーケティングを無視した店があるだろうか?
「あのぉ、ここはいったい何屋さんなのでしょうか?」
勇気を出して店主に訊ねる。
意外にもサバサバと、
「ディスカウントショップのハシリだね」
と返される。
しかし、置いてある品々は中古品。ディスカウントショップとは微妙に違うような気もして、しばらく考え込んだ。
「以前は金とか宝飾品がメインだったんだけど、今はほら、金がメチャクチャ高いでしょ。一時の4倍くらいになっちゃってるから、とても扱えない」